矢野経済研究所はこのほど、国内インバウンド市場に関する調査結果を発表した。インバウンド旅行者数(ビジネス目的の旅行も含む)や物品購入規模にフォーカスを当てた分析をおこない、今後の動向を予測したもの。それによると、今後訪日旅行者数は中国などアジアからの旅行者増が順調に拡大し、2020年には2015年の約1.9倍に及ぶ3679万人になる推計となった。
また、2015年の物品購入金額の1兆4849億円に対し、2016年は1兆3088億円と約1割減少。ただし2017年以降は再度市場拡大に転じて1兆5380億円となり、2020年には2015年の1.3倍となる1兆8764億円に成長する見通しとなった。これらの数字は国内経済環境などがある程度継続した場合を前提としているが、株価や為替相場、世界各国の経済情勢次第では、2020年の消費市場が2兆円規模に拡大する可能性も十分あると考察している。
インバウンド旅行者数、および国内インバウンド市場規模の推移予測は以下のとおり。
一方、同研究所では、インバウンド市場規模の拡大によって恩恵を受ける地域が限られる現状にも言及している。2015年の状況をみると、全体の市場規模の約4割におよぶ6077億円は東京に集中。次いで大阪が全体の12.1%を占める1800億円。次いで千葉県が3位の1148億円。1位の東京は消費スポットが多数存在しているほか、大阪では消費スポット以外にユニバーサル・スタジオ・ジャパンが存在していることも大きな要因に。また千葉県では、東京ディズニーランドに加え、成田空港や複数のアウトレットモールがあることも消費市場規模が大きい理由としている。
この調査は2016年1月から9月にわたり、百貨店やブランド企業、その他小売業などを対象に実施されたもの。同研究所の専門調査員が面談や電話、ヒアリングなどをおこない、文献調査と合わせて分析してとりまとめた。物品購入金額には、宿泊費や交通費は含めていない。