東京商工リサーチは2017年3月27日、てるみくらぶが東京地裁に自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けたと発表した。申請時の負債総額は約151億円。一般旅行者に対する債務は、約3万6000件に対して約100億円。旅行業者の倒産としては、リーマン・ショック後最大となる模様。27日午前に実施された会見によれば、影響を受ける旅行者は「最低でも8万~9万人に至る見通し」とされている。
同社の創設は1998年12月。自社サイト「てるみくらぶ」を通じた海外旅行パッケージツアーを中心に展開。格安旅行会社として人気を博し、2011年9月期には年間売上約134億2400万円を計上。その後も積極的な広告展開などが奏功し、2016年9月の売上高は約195億円に達した。
しかしその一方、広告出稿に伴うコスト負担や、対面販売や添乗員の増員などのよる人件費増に加え、円安影響を受けて利益率が悪化。資金繰りが厳しい状態に陥った。
取引先への支払い条件変更などでやりくりしていたものの、3月24日に突然、旅行ツアーの航空券が一部発券できなくなる事態となり、山田千賀子社長名でのメール通達を実施するなど、多数のトラブルが表面化。当座の資金繰りのめどが立たず、事業停止の判断に至ったという。
JATA、債権者に対する申請手続き開始
日本旅行業協会(JATA)は2017年3月27日、同協会正会員の「株式会社てるみくらぶ」の営業停止を協会ホームページで発表。てるみくらぶとの取引によって生じた債権を持つ者に対し、弁済業務保証金制度の案内を開始している。該当者は以下のURLから、てるみくらぶで申し込んだ顧客の氏名や連絡先、旅行出発日と行き先、支払い済み金額(概算)を入力する必要がある。また、旅行パンフレット、旅行申込書、請求書、メール記録といった関係情報は保管しておくよう注意を呼びかけている。同協会による弁済限度額は1億2000万円。弁済申請後6月中旬ごろに認証申出に関する案内書面を発送、弁済の手続き終了まで約8~9ヶ月程度かかる見込みとしている。
※編集部注:会見の内容を受け、本記事中の債務件数と影響を受けた人数を一部修正しています(3月27日 12:40)。
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