帝国データバンクが発表した、2017年3月末時点の旅行業者の倒産動向によると、2016年度の倒産件数は前年度比16.0%増の29件。2016年度の負債総額合計は前年比約5倍(403%増)の203億9300万円に大幅増加。2017年3月27日にてるみくらぶが破産したことにより、比較可能な2000年度以降で最大の負債額となった。また、2016年度の収入高総額は前年比2.0%減の3兆7377億円となった。
この調査は、同社のデータベースをもとに、業績比較が可能な旅行業者6021社を抽出して分析したもの。旅行業者の倒産状況推移は以下のとおり。
同社によれば、過去10年の倒産件数のうち、50件を超えたのはリーマンショック後の2009年度と東日本大震災があった2011年度のみ。負債総額が10億円以上の倒産は、2013年度はゼロで2014年度は1件、2015年度と2016年度は2件。2016年度は、てるみくらぶ関連2社以外はすべて負債額が5億円未満だった。
一方、旅行業者の2016年決算(2016年1月期~2016年12月期)の収入高総額は前年比3兆7377億円。2014年決算から2年連続で増加していたが、2016年は2.0%減とマイナスに転じた。
同社では、集客用のシステム導入以外に大きな設備投資が発生しないという背景に基づき、「旅行業では大型倒産が発生しにくい傾向があるとされている」と解説。その一方で、2016年度は倒産件数の増加と収入高総額低下の両方がみられたとして、事業環境の変化によっては今後も倒産件数が増加する可能性もあると分析する。また、先ごろのてるみくらぶの破産のように、大きな消費者被害につながることをできるだけ回避するためには、業界として弁済制度などの一般消費者向け救済策の充実が必要だと示唆している。