エクスペディアグループはこのほど、宿泊施設と交通手段(航空券やレンタカー)をまとめて予約できるセット旅行商品「ダイナミックパッケージ」に関する調査レポートを発表した。同社の予約実績にもとづき、ダイナミックパッケージを使った旅行者の傾向を分析。旅行者と宿泊施設の双方に対してメリットを与える方策を検討したもの。
それによれば、ダイナミックパッケージを利用する訪日外国人は宿泊施設だけを予約する旅行者に比べて約2倍長い期間宿泊する傾向があった。また、例えば、京都で宿泊施設のみの予約は「平均2日」だった一方で、ダイナミックパッケージ予約では「5日」になるなど、地域に応じた傾向も明らかになった。
また、早期予約傾向もみられ、ダイナミックパッケージ経由では宿泊施設だけの予約のタイミングと比べて期間が約1.7倍におよぶ「平均77日前」に予約を完了しているとの結果になったという。
さらに、ダイナミックパッケージの利用者は、申し込んだ後の予約キャンセル率が低いことも判明している。宿泊施設だけを予約した場合と比べて、全世界的にキャンセル率は約2分の1に低下。日本に限ってみると、ダイナミックパッケージのキャンセル率が1割以上低い結果になった。同社ではこの現象について、一般的に返金ができない航空券が含まれていることなどが要因であると分析している。
提供されたデータによれば、訪日旅行者でダイナミックパッケージの予約が多い国・地域は、香港、米国、タイ、台湾、マレーシア、英国など。そのうち、マレーシアと英国は早期予約の傾向が強く、英国と米国は長期滞在傾向があるという。また、キャンセル率が低い市場は、マレーシア、香港、英国だった。
なお、訪日ダイナミックパッケージの予約需要が急増しているのは、台湾が(280%増)、香港(70%増)、シンガポール(65%増)、オーストラリア(40%増)、米国(20%増)だった。
エクスペディアではこれらの傾向を踏まえ、宿泊施設がダイナミックパッケージをうまく活用するための戦略として、航空券の価格が割安な「出発非の3ヵ月以上まで」に客室を提供することで値ごろ感を与えることが重要であると提起。また、特定市場の傾向を踏まえたうえで、そこにフォーカスした販売戦略も必要だと言及している。