帝国データバンクは、このほどレンタカー業者の経営実態調査を行った。それによると、レンタカー業を主業とする企業273社の2016年度の総収入高は、1兆648億1300万円(前年度比9.6%増)と 1 兆円を突破。過去10年間で最高となった。2010年度(8255 億 8700 万円)以降、7年連続で前年度を上回り、2007 年度(8490 億 8800 万円)以降の 10 年間で総収入高は約25%拡大したことになる。
帝国バンクでは、その背景として、訪日外国人旅行者の増加に加えて、若者を中心とした消費者による乗用車の「保有」から「シェア」への意識変化を取り込んだ低価格業者の台頭などでレンタカー市場が活性化、総収入高伸長に繋がったと分析している。
273社の収入高動向をみると、2016年度は全体の59.7%が「増収」となり、「減収」(構成比20.5%)を大きく上回った。全国的な訪日外国人観光客需要の増加に加え、東北や北陸では新幹線の開通効果、九州では「九州ふっこう割」の導入が追い風となった。一方、減収となった企業には、地方出張の減少による法人客需要の減少や利用者の小型車需要増加による客単価の下落などが影響したケースも散見された。
レンタカー業者の本社所在地を都道府県別にみると、最も多かったのは「沖縄県」の23社(構成比8.4%)。2位は「北海道」(21社、同7.7%)となり、年間を通して国内外から観光・リゾート客が多く訪れる地域でレンタカー業者が多くみられた。以下、「東京都」(20社、同7.3%)「愛知県」(18社、同6.6%)、「大阪府」(13社、同4.8%)が続いた。
帝国バンクでは、従来のレンタカーに加え、「カーシェアリング」や「ライドシェア」など新たなサービスが広がりを見せているほか、訪日外国人観光客向けの高速道路乗り放題パス「Japan Expressway Pass」の導入により、レンタカーのインバウンド需要拡大も期待されることから、今後も市場の安定成長が見込めるとしている。