米国では、テロ防止策などセキュリティ強化の一環で航空各社に空港での新たな検査強化を求めている。AP通信によると、2017年10月25日(米国時間)の段階で対応を発表しているのはエミレーツ航空(EK)、エールフランス(AF)、キャセイパシフィック航空(CX)、エジプト航空(MS)、ルフトハンザ航空(LH)の5社。その方法については各社対応が分かれている。
米政府は今年3月、IS戦闘員や過激派が機内に爆発物を持ち込むことを防ぐために、中東10都市からの米国便にはラップトップPCを持ち込むことを禁止した。しかし、各航空会社が搭乗前にCTスキャンなどを使って電子機器を検査する措置を開始したことから、この禁止令は解除された。それに代わって、今年6月末、航空会社と空港に対して新たな検査強化を要求。実施までに120日間の猶予を設けてきた。
AP通信によると、エミレーツ航空(EK)は、10月26日(現地時間)から米国便に搭乗するすべての乗客に対して安全性確認のための「インタビュー」を行うと発表。ドバイ発の乗客に対して、チェックインカウンターで、乗り継ぎ客については搭乗ゲートで「事前インタビュー」を実施する。
エールフランスは、10月26日からオルリー空港で、11月2日からシャルル・ド・ゴール空港で乗客に対する安全性確認のインタビューを実施すると発表。すべての乗客に質問表が配られる形で実施される。
キャセイパシフィック航空は、乗客自身による手荷物チェックインを中止すると発表。さらに、米国に向かう乗客に対しては安全確認のための短いインタビューを実施する。手荷物チェックインのない乗客については、搭乗ゲートで同様のインタビューを行う。
エジプト航空は、乗客のより詳細な身元確認と手荷物検査、インタビューを含む新しい措置を発表。さらに、認可されていない農産物や動物用医薬についてもさらに厳しい手続きを行う。
ルフトハンザ航空は、米政府からの要求に対して、「すでに実施している電子機器の検査に加えて、米国便の乗客に対しては、チェックインカウンターで短いインタビューを行いうとともに、渡航書類審査を厳格化する」と発表している。
米国土安全保障省は現在までのところ、今回の各社の対応についてコメントは出していない。また、主要航空会社によるインタビュー実施がほかの航空会社にどれほどの影響を与えるかは現時点では明らかではない。
ラップトップ禁止令や中東地域からの入国禁止令は、中東最大の航空会社であるエミレーツが米国便を20%減便するなど、中東の航空会社に大きな打撃を与えてきた。新たな検査強化要求に対して、エティハド航空は具体的な説明はなく「通常運航している」とのコメントのみ。カタール航空はまだ何のコメントも出していない。