日本政府観光局(JNTO)の松山良一理事長が2018年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
松山理事長は2017年を振り返り、これまで以上に早いペースで訪日外客数が拡大していることに言及。今年は先ごろJNTOに新設した専門部署を通じたデジタルマーケティングをさらに強化し、効果的な情報発信やプロモーションにつなげる方針を示した。
また、自治体などと連携した地方創生への貢献に加え、今年は欧州を対象とする大規模訪日促進キャンペーンも予定。欧米豪市場や富裕層の取り込みも視野に、観光先進国・日本への飛躍の一年にしたいとしている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
2018年 年頭所感 ―「観光先進国・日本」への飛躍―
新年明けましておめでとうございます。
2017年の訪日外客数は、9月半ばに2000万人を、また、11月4日には過去最高であった2016年の年間訪日者数2404万人を超え、これまで以上に早いペースで推移をしています。JNTOは、昨年新たに開設した6事務所(マレーシア、ベトナム、インド、イタリア、スペイン、ロシア)およびフィリピンの準備室を含む21の海外拠点において、現地目線に沿ったプロモーションを実施してまいりました。また、「明日の日本を支える観光ビジョン」の実現に向けて、関連省庁や組織と連携の上、様々な施策を実施しています。
JNTOは、ICTを活用した情報発信及びデジタルマーケティングの強化の一環として、専門部署「デジタルマーケティング室」を新設、また、インスタグラムの公式アカウントの開設や訪日外客向け観光情報アプリ「Japan Official Travel App」の提供を開始し、関連ビッグデータの収集・分析を進めつつ、デジタル技術を活用したマーケティング、プロモーションを積極的に展開しています。
地方創生への貢献としては、昨年9月に「地域プロモーション連携室」を新設、また、地域インバウンド促進サイト「日本の魅力を、日本のチカラに。」を開設し、地方運輸局、広域連携DMO、自治体等の連絡窓口として、各地域と緊密に連携し、地域のインバウンドの取り組みを後押しする体制をとっています。昨年から全国16地域において、訪日インバウンドの受入れの課題に対して、プロモーションの方法等を追及することを目的としたワークショップ、セミナーやシンポジウムを開催しています。
また昨年は、「ツーリズムEXPOジャパン2017」の主催にJNTOが初めて加わり、商談機能を強化し、訪日外客の地方への誘客、域内消費の促進、東北・九州の復興支援に重点をおきました。
東北観光復興プロモーションは2年目に入り、東北観光推進機構をはじめとする東北の観光関係者が実施する事業との連携を一層強化しています。
「質の高い観光」の実現という観点では、昨年度の欧州15カ国を対象とした大規模な訪日促進キャンペーン「JAPAN-Where tradition meets the future」に次いで、今年は、「外国旅行には積極的であるにも関わらず訪日旅行に関心が無い層」をターゲットとしたグローバルキャンペーンの展開を予定しており、多様な日本のアクティビティ体験の魅力を中心に発信していきます。
今年も「観光先進国」への飛躍に向けて、新しい市場の開拓、地方への誘客、欧米豪市場および富裕層の取り込み、国際会議・インセンティブ旅行の誘致支援を強力に推進してまいります。観光産業の裾野を広げ、日本のソフトパワーを強化し、観光により地方を、そして日本をより豊かに、元気に、明るくするべく、国、地方自治体、経済界、民間企業等の関係者の皆様と共に、インバウンドの拡大に全力で邁進してまいりますので、なお一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
日本政府観光局(JNTO)
理事長 松山良一