日本政策投資銀行(DBJ)と公益財団法人日本交通公社(JTBF)は先ごろ、「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(2017年版)」を発表した。それによると、アジア・欧米豪12地域での「今後、旅行したい国・地域」は、昨年に引き続き「日本」がトップ(全体の51%)。次いでオーストラリア(41%)、ニュージーランド(39%)と続く結果になった。
居住地域別の傾向は? 欧米豪からの旅行先トップは「米国」、日本の人気も急上昇
ただし、欧米豪に特化してみると、状況はやや異なる。欧米豪では「米国」(53%)への旅行希望者が最多、2位は「オーストラリア」(46%)と「カナダ」(46%)が並ぶ。「日本」は昨年の8位から順位を上げて6位となり、アジアとしてはトップになっている。
一方、アジア全体ではトップ「日本」の人気はさらに顕著で、57%が訪日意向を示した。アジアでの2位は「オーストラリア」(39%)、3位「ニュージーランド」(37%)、4位「韓国」(36%)。なかでも訪日意向が強い国・地域は台湾(75%)、「香港」(71%)、「シンガポール」(62%)と続く結果に。「中国」は53%で前回と比較して8ポイント減。一方で、中国から米国への訪問意向(43%)が6ポイント増加したのが特徴だ。
日本への旅行意向は以下のとおり。
また、この傾向は「実際に検討している旅行先」でもほぼ同様の結果に。全体のうち人気トップは「日本」(34%)で、アジア全体では調査開始以来6年連続で首位を維持。旅行意向が2位だった「香港」では、6割が実際に旅行を検討中と回答して1位となり、2位「台湾」(42%)と差が開く結果となった。
欧米豪全体では「米国」(33%)が人気トップだが、「日本」(23%)は前年より4ポイント増加し、昨年の8位から2位に急上昇した。
日本の競合は「韓国」が最多、豪州やフランスでは過半数が「日本以外は検討しない」
日本への旅行を検討する際に比較した旅行先をみると、回答者全体では「韓国」(30%)が最多。次いで「香港」(20%)、「台湾」(18%)、「中国本土」(14%)の順となり、日本から比較的近距離にあるアジアの地域が上位となった。一方、欧米豪からの旅行では、「香港」(25%)が最多。特に米国(35%)と英国(30%)では3割以上が香港を日本の競合先として検討した。
なお、全体では約3割(29%)が「(日本以外の)他の国・地域は検討しなかった」と回答しており、日本への旅行に限定した検討を実施した状況もみられる。特に、欧米豪のうちオーストラリア(52%)とフランス(57%)は過半数以上が「他の国・地域を検討しなかった」と回答。ただし、日本限定で検討した割合は、欧米豪全体では41%となり前回調査よりも11ポイント低下した。
日本で体験したいことトップ3は「食事」「桜」「自然・風景」、欧米豪は「歴史的建築物の見学」も上位に
日本を訪れてしたいことをみると、最多は「伝統的日本料理を食べる」(全体の65%)がアジアと欧米豪のすべてでトップになった。2位は「桜の鑑賞」、3位「自然や風景の見物」。そのほか、「現地の人が普段利用している安価な食事を食べる」「雪景色鑑賞」「温泉への入浴」が上位。また、アジアと比較すると、欧米豪では各地域で半数以上が「有名な史跡や歴史的な建築物の見物」と回答したのが特徴だ。
日本旅行で体験したいことのトップ10は以下のとおり。
また、訪日旅行で宿泊したい施設は「日本旅館」(全体の71%)がトップ。滞在希望日数は、アジアは6~7日(34%)、欧米豪は「10日以上」(71%)が最多。日本でお金をかけたいものは国・地域によって傾向が異なり、中国は「買い物」、インドネシアや欧米豪は「観光・レジャー」。中国とインドネシア以外のアジアは「食事」が最多となった。
この調査は、20歳から59歳までの男女のうちアジア・欧米豪12地域(韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス)への海外旅行経験者を対象に実施したもの。調査期間は2017年6月29日から7月12日まで。有効回答者数はこれら地域に住む6274名。中国は北京および上海在住者が対象。
詳細レポートは以下から参照できる。
日本政策投資銀行