民泊仲介プラットフォームのAirbnb(エアビーアンドビー)は、6月15日から住宅宿泊事業法が施行されたのを受けて、新しいサービスの開始とパートナー企業との協業を強化する。記者会見で同社共同創設者兼チーフ・ストラテジー・オフィサーのネイサン・ブレチャージク氏は、「6月15日は、日本のホームシェアリングにおけるターニングポイント」と話し、日本での事業展開では「法令遵守を徹底していく」とコメントした。
また、ブレチャージク氏は、リスティングのクオリティを担保する仕組みとして新たな認証制度「Airbnb Plus」を東京、大阪、京都で立ち上げると発表。Airbnb Plusのホストは、Airbnbサイトでのトップ表示やプレミアムサポートを受けることができる一方、ゲストは品質基準が認証された部屋に宿泊することが可能になる。
このほか、ホストに対しては、登録手続きのための専門家によるセミナー、登録に向けたガイダンスやサポートを提供していくほか、地方自治体と届け出手続きの簡素化に向けて継続的に話し合いを進めていく方針。住宅宿泊事業法の施行によって日本のリスティングが激減しているとの報道があるが、今後はサポートを充実させることでホストを増やしていきたい考えだ。
ワンストップサービスや地域活性化で協業、新たなリスティング開発も
Airbnb Japan代表取締役の田邉泰之氏は、「プラットフォームとして、パートナーとともにビジネスの最大化を図っていく」と強調。現在36社で構成されるパートナー企業との協業を強化していく方針を明らかにするとともに、新たなサービスの立ち上げを発表した。
まず、エボラブルアジアの子会社のエアトリステイとは、各地域で住宅宿泊事業を企画する個人や企業向けにワンストップサービスを提供していく。エアトリステイは各地地域の有力企業とフランチャイズ契約を締結。各提携企業は、 自社サービスと、チェックイン、清掃などを含むエアトリステイのワンストップサービスを組み合わせ、 それぞれの地域の住宅宿泊事業者に向けたサービスの提供を行う。
日本のポップカルチャーを中心としたイベントを企画するアソビシステムと不動産会社との協業では、原宿にポップカルチャーを体験できる新しいリスティングを開発。さらに、放送作家で脚本家の小山薫堂氏が社長を務めるオレンジ・アンド・パートナーズ、オープンハウスとの協業では、ホームシェアリング対応型住宅を建築、年内に販売を開始する。「民泊の普及によって家のあり方、そして暮らし方も変わってくる」(田邉氏)との考え方から、新しい家の形も提案していく。
地域活性化の取り組みとしては、KADOKAWAと宮城県塩竈市と連携し、地元の文化や暮らしを活かした新しい旅の体験を発信していく。京都では、地元伝統工芸職人と毎日放送との協業として、伝統工芸と古民家を活かした京都広域でのコミュニティ作りを進め、混雑する京都中心部からの観光客分散化にも貢献していく考えだ。
このほか、カルチュア・コンビニエンス・クラブは、今年中にAirbnbの利用でTポイントが貯まるサービスを開始する。記者会見に登壇した同社代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏は「全国6,700万人のTポイントカード会員のデータベースを活用して、新しい旅のライフスタイルを提供していく」と話し、Airbnbゲスト拡大に向けて協力していく姿勢を示した。