欧州航空機大手のエアバスは2019年2月14日、2021年に超大型機A380の製造を中止することを発表した。同機は2007年にデビューし、「空飛ぶ豪華ホテル」とも呼ばれた世界最大の旅客機。総2階建てで座席数が500席以上となるスケール感で、エアライン各社が豪華な機内装備を施してきた。しかし、2016年には需要の減退とともにエアバスは減産を発表。そして、このほどドバイを拠点とするエミレーツ航空が発注数を39機減らしたことを契機に、2021年の引き渡しをもって製造を終了することになった。
エアバスは14日の2018年度決算発表に際し、純利益が前年比29%増の31億ユーロ(約3880億円)となったことで、A380の損失をカバーできると判断。製造中止に伴う発表では、今年度のEBIT(税引前利益)は4億6300ユーロ(約580億円)減、その他の財務への影響は1億7700万ユーロ(約220億円)増と予測。今後引き続き、世界経済と航空業界の成長に伴う利益拡大を見込むとしている。
同機は象徴的なジェット機であった一方で、航空会社は割高となる航空機への投資に慎重となる傾向があり、空港もA380対応のために滑走路の建設やターミナルの改修に迫られれていた。また、A380は製造開始当初から、フランスおよびドイツの経済的な緊張や長期にわたる生産遅延、コストひっ迫などの課題を抱えており、AP通信では継続的な事業再編が求められる状態にあったと報じている。
なお、エミレーツは同日、エアバスとの間で一部のA380機を小型の330機やA350ワイドボディに交換する取引計画も発表している。