エアアジアCEOが語った訪日客拡大のカギ、LCCの地方空港への就航増やして「滞在時間を伸ばせ」

LCCエアアジアグループCEOのトニー・フェルナンデス氏は、先ごろ開催された「Rakuten Optimism(楽天オプティミズム)」で楽天会長兼社長の三木谷浩史氏と対談し、日本の観光市場について「訪日外国人数は6000万人~7000万人は達成できる」との見通しを示した。

フェルナンデス氏は、日本は「ほかにはない歴史や文化、食事などのある素晴らしい国」だが、「以前は旅行の費用が高く、手続きも複雑だった」と指摘。それがLCCの就航で、「エアアジアは東南アジアから年間100万人を送客している」と話し、LCCの訪日市場への寄与をアピールした。

ただし、現在は東京や大阪など大都市に集中していると説明。「日本各地の空港にLCCを招き入れてほしい。訪れるべきところはたくさんあるが、地方への就航便は少ない」と述べ、LCCの地方就航が訪日客拡大のカギとなる考えを示した。

さらにフェルナンデス氏は、世界各地が観光誘致を強める中、「日本もさらなる門戸を開くことで大きな利益を受ける」とも言及。地方就航で訪問地への移動時間を減らし、「(訪日旅行での)滞在時間を伸ばせる」と話し、地方就航を増やすことで、地域が享受できるメリットも強調した。

三木谷氏は、「日本でも海外旅行の未経験者があり、双方向の動きもある」と、LCCのアウトバウンドへの寄与にも触れた。また今後、日本でIR(統合型リゾート)の開業が見込まれることにも触れ、アジアの旅行者にとってもこれまで以上にエキサイティングな旅行先になると話した。

一番の成功は企業内の文化醸成、人財で「ダイヤモンドを発掘」

また対談では、フェルナンデス氏がエアアジアの成長要因にも言及。「これまでの型を破り、社員が夢を追うことができる組織作りがエアアジアの力の源」と話し、「一番成功したのは企業内の文化醸成」とその重要性を強調した。

例えば同社では、地上職のスタッフが客室乗務員やパイロットを志望して転属することは珍しくなく、現在のカスタマーケアサービスのCEOはコールセンターの出身。ミス・タイに選ばれた客室乗務員がパイロットを志望し、現在は機長として活用するなど、「意欲と能力のある人をしっかり昇進させる」とフェルナンデス氏は説明する。パイロット職では全3000人のうち300人以上が女性で、アメリカの航空会社よりも女性比率が高いという。

フェルナンデス氏は、「企業にとっての一番の資産は人財」と強調。「社内で盛り上げる取り組みをしている。私はダイヤモンドを発掘した」と、自信を示した。

エアアジアCEOフェルナンデス氏と楽天会長兼社長の三木谷氏の対談の様子

取材:山田紀子


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