新型コロナで日本人旅行のキャンセルが急増、3月の貸切バス収入は半減、政府は回復に向け官民一体のキャンペーン検討

政府は、2020年3月5日、第36回未来投資会議を開催し、新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーンや観光などへの影響について議論が行われた。

そのなかで、安倍晋三首相は、サプライチェーンについて生産拠点の多元化を図る意向を示したほか、「オリンピック・パラリンピックの成功に向けて官民一丸となってキャンペーンを実施し、内外にメッセージを発信する。人の流れを回復するため、観光需要の喚起や、地域の農産品、商店街のにぎわい回復を含め、国を挙げたキャンペーンを検討する」と発言した。

観光分野について、会議では日本人の旅行キャンセル・延期の数が急激に拡大しているとして、その影響を数値で示した。一般社団法人全国旅行業協会の資料では、日本人国内旅行のキャンセル・延期の件数は2月7日調査(1月30日〜2月7日)の397社2万2000人から2月28日調査(2月20日〜2月28日)では2796社35万6000人に急増。日本人海外旅行のキャンセル・延期の件数も310社4100人から1100社2万5000人に拡大した。さらに、訪日外国人旅行のキャンセル・延期の件数も164社3万4000人から729社10万6000人に増えた。

また、貸切バスのキャンセルも深刻さを増しており、日本バス協会加盟の貸切バス事業者79者を対象とする調査(51者が回答)で、2020年1月の収入は前年比6%減の23億4000万円だったものが、2月は同14%減の22億7000万円に。3月には同51%減の14億1000万円と半減する見込み。4月はさらに悪化し、同53%減の15億6000万円に落ち込むと推計されている。

こうした背景から、未来投資会議では、国民の命と健康を守ることを最優先に、緊急対応策を実施した後、当面の資金繰り・雇用維持への支援が重要と指摘。回復に向けては、国内外から人を全国各地に呼び込むために官民一体となった国民運動をあらかじめ想定しておくことが重要と提言した。

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