2020年の消費者トレンド予測、注目テーマは「交通の利便性」と「個人情報」、ユーロモニター社が最新分析を発表

国際的な市場調査会社のユーロモニターインターナショナル社は、消費者傾向を展望する「2020年世界の消費者トレンドTOP10」を発表した。各業界に精通したアナリストの見解をもとに業界関係者に聞き取り調査を実施、世界のビジネスに変化や影響を及ぼす消費者トレンドを10項目でまとめたもの。2020年の最も注目されるテーマは「利便性」と「個人情報の管理」とし、選出したトレンドごとにその背景や企業の取り組み事例をレポートしている。

今年選出された10のトレンドの中から、注目すべき2つ項目を紹介する。

1、シームレスなモビリティ

ユーロモニター社は、道路渋滞や公共交通機関が過密化する巨大都市の増加していることから、今後は自分の好きなように街中を移動する「シームレスなモビリティ」へのニーズが高まると予測する。

すでに、時間や予算、天候など様々な条件を考慮した複数の移動手段をリアルタイムで確認できるナビゲーションアプリが台頭し、移動手段の購入・決済を一元的に行なうタッチレス決済やモバイル決済も標準仕様となりつつある。

こうしたなか、消費者にとって「シームレスなモビリティ」は、「あったら良い」ではなく、「あって当然」のものとして定着しつつあるとした。

このトレンドに沿った企業の取り組み事例としては、ロンドン市内の交通をサブスクリプション(乗り放題)方式で利用できるナビゲーションアプリ「Ctiymappaer」(英国)やMaaSアプリ「Whim」(フィンランド)などを紹介。2020年のモビリティ業界は、民間セクターが都市交通を担うようになるとし、始まりから終わりまで移動のすべてを一元化する方向に向かうとしている。

2、プライバシーを守りながらパーソナライゼーション

世界の多くの企業が、個人情報をもとにパーソナライズ(個人への最適化)した顧客体験の提供に注力している。ユーロモニター社は、消費者は自分にカスタマイズされた製品や体験を楽しむ一方で、その代償を考え始めている傾向も指摘した。

オンライン上で個人情報をシェアすることを良しとする消費者の数は減少しているといい、スマホの利用頻度の確認をしたり、SNSでの活動を抑制する人も増えた。消費者の個人データを適切なセキュリティやオプトアウトするオプション無しで収集・使用する企業は、「プライバシーを守りながらパーソナライゼーション」したい消費者からの信頼を確実に失うとし、EUのGDPR(欧州連合の一般データ保護規則)のような法規制は、消費者に有利な世界への移行を示唆しているとした。

企業の取り組み事例としては、自分のデータが企業にどのように使用されているかを知り、自分の個人情報での収益化を支援する「Digi.me」(英国)/「UBDI」(米国)や、顧客から提出されたDNAをもとに健康診断の結果とその結果を考慮した料理を出す寿司店をオープンするSushi Singularity/Open Meals(日本)などを紹介。今後、商取引における消費者の立場は現在よりも強くなるとし、データを収集するデータアグリゲーターが消費者から個人データを購入して企業にまとめて販売するなど新たな市場が創出される可能性もあると見ている。

その他、2020年の世界の消費者トレンドトップ10には、や「多機能化する住まい」「世界に広がる地元愛」「自分の心を気遣う」などが選ばれた。調査結果レポートのダウンロードは以下から。

ユーロモニター「2020年世界の消費者トレンドTOP10」

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