東京オリンピック・パラリンピック開催の節目として、2020年に照準を当てて開業を予定していたMICE、商業施設やホテルが、新型コロナウイルスの感染拡大で、次々と開業延期を余儀なくされている。
住友不動産と羽田エアポート都市開発は新型コロナウイルス特措法に伴う緊急事態宣言を受け、4月下旬に開業を予定していた大型複合施設「有明ガーデン」と「羽田エアポートガーデン」の開業延期を決定した。
有明ガーデンは749室のホテル、8000席の大型イベントホール、大型ショッピング施設、羽田エアポートガーデンは国際線ターミナルに直結し、約2400平方メートルのイベント施設、国内最大級の1717室のホテル、バスターミナル、天然温泉などを備える東京のMICEの要として期待されているが、それぞれ5月15日、夏ごろの開業に変更する。
群馬県の「Gメッセ群馬」は3万平方メートルの屋内外展示スペース、2000台の駐車場を備えて4月20日に開業する予定だが、4月18日の開所式典は中止。群馬県の担当者は「粛々と準備を進めている。情勢、関係者の意見など総合的に判断したい」と話す。
国内外からの観光誘致に不可欠な商業施設、ホテルにも影響が出ている。三井不動産は、全面建て替えを進めていた「三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド」の4月13日の営業開始を見送り、当面の間休館。NTT都市開発は、京都の複合施設「新風館」について、「エースホテル京都」(213室)、セレクトショップ、飲食店、ミニシアターを含む全館の開業を4月16日から5月21日に延期すると発表。「拡大防止への取り組みが引き続き求められているほか、ホテル利用客や関係者の安全を最優先に考慮した」と説明している。
余波は文化施設にも及んでいる。政府は、アイヌ文化復興の中核施設「民族共生象徴空間」(ウポポイ)を北海道白老町に4月24日に開業する予定だったが、5月29日を目指して準備を進めるという。