政府は2020年6月16日、2020年版観光白書を閣議決定した。白書は4部で構成され、今年は第II部で新型コロナウイルス感染症への対応を盛り込んだほか、第IV部では2020年度に実施する施策として観光分野における新型コロナウイルス感染症対策を明記した。
第II部では、新型コロナウイルスの感染拡大による日本の観光への影響について、訪日外国人、日本人国内旅行消費額、延べ宿泊者数、宿泊予約数がそれぞれ急減したことに触れるとともに、観光業界への影響も分析。そのうえで、日本人国内旅行の活性化の必要性を盛り込んだ。
観光庁によると、昨年度の第II部はインバウンド動向だったが、今年度はコロナ禍の影響を分析し、日本人国内旅行の動向を示すことで、今後の国内旅行市場における内需の重要性を強調したという。観光白書でインバウンド施策がメインとして盛り込まれるようになったのは、ここ数年のことだ。
また、2020年度版では、これまで政府が掲げてきた2020年訪日外国人4000万人という目標の表記は消えたものの、観光庁は「その目標と、その先の6000万人という前提は変わっていない」としている。
第IV部の新型コロナウイルス対策では、感染拡大の早期収束、雇用維持と事業継続の支援、強力な国内需要喚起策を支援策の3本柱と位置づけ、インバウンドについては、誘客可能となった国から回復を進めることで、再び観光立国の実現を目指すとしている。
このほか、観光インフラの整備では、最先端技術を活用した革新的な出入国審査等の実現も明記した。具体的には、入国審査でのバイオカードの導入、台湾とのプレクリアランスの早期実現、顔認証技術を活用した自動化ゲートの導入などのほか、空港におけるFAST TRAVELの整備を加速させる。