日本人の余暇活動、首位の「国内旅行」は前年比微減、スポーツ観戦が増加、観光・行楽部門で「鉄道」など過去最大を更新  -レジャー白書2020

日本生産性本部の余暇創研は2020年8月24日、記者会見を開き「レジャー白書2020」の概要を公表した。この白書は2019年の日本の余暇活動をまとめたものだが、新型コロナウイルスの感染拡大で、レジャー産業を取り巻く環境も大きく変化していることから、緊急事態宣言が解除される2020年5月までのコロナ禍の影響と今後の課題についても特集している。このため、発行は例年8月上旬だが、今年は9月30日に延期された。

2019年の余暇活動を見ると、最も参加人口が多かったのは9年連続で「国内観光旅行」。前年よりも微減となったものの、約5400万人で2位の外食約4350万人を1000万人以上上回った。上位7位までは前年と変わらず。上位20位のうち、前年よりも参加人口が増えたのは「外食」、「映画(テレビは除く)」(5位)、「音楽鑑賞」(7位)、「ウォーキング」(10位)、「宝くじ」(14位)。順位が上昇したのは「カラオケ」(11位)、「宝くじ」、「音楽会・コンサート」(17位)、「テレビゲーム(家庭での)」(20位)。

報道資料よりまた、1人あたりの平均参加種目数については、2019年は前年比0.1種目減少して12.3種目。部門別では、趣味・創作で増加した一方、スポーツ、娯楽、その他の部門で減少となった。 性・年代別では、男性では前年比0.2種目減、女性は同0.1種目減。男性は10代、20代、70代で増加しており、10代の1.0種目増が最も大きい伸びとなった。女性は10代、20代、70代に加え、40代が前年から増加。特に女性10代は、前年の15.5種目から17.3種目と大きく増加し、全性世代で最も多い参加種目数となった。

2019年の特徴は、ラグビーワールドカップをはじめ、ニュースに取り上げられるスポーツイベントが多く開催されたことから、「スポーツ観戦(テレビを除く)」が前年よりも2.1ポイント増の16.5%になったこと。特に男性では同3.1ポイント増の21.3%と大きく伸びた。将来の参加希望率でも全体で同2.3ポイント増の20.6%。最も上昇幅が大きかったのは男性20代で同11.2ポイント増(32%)。次いで女性20代の同7.9ポイント増(20.9%)。

余暇関連市場規模は72兆2940億円、有料動画・音楽配信の増加顕著

記者会見では桜美林大学ビジネスマネジメント学群の山口有次教授が「余暇関連産業・市場の動向」について説明した。それによると、2019年の余暇関連市場規模は同0.6%増の72兆2940億円。パチンコ・パチスロを除くと同2.2%増で7年連続の増加となった。

部門別市場規模では、「娯楽」「趣味・創作」「スポーツ」が減少あるいは横ばいであるのに対し、「観光・行楽」がインバウンドの増加によって2011年から右肩上がり。2019年は40兆円を超えた。さらに詳しく見ると、「観光・行楽」部門で、2019年に過去最大規模を更新したのは、「鉄道」「ホテル」「海外旅行」「国内航空」。一方で、「旅館」の市場規模は、縮小傾向が続いている。

報道資料よりまた、最も増加率が高かった分野は「有料動画配信」で伸び率は26.1%。このほか、電子出版(23.8%)、有料音楽配信(10.9%)が伸びた。山口教授は、この3分野について「コロナ以前から伸びていたが、コロナ禍でその伸び率がさらに加速した」と説明したうえで、今後もオンラインのサービスは余暇市場に影響を与えてくるとの見通しを示した。

このほか、山口教授は、ウィズコロナ時代の市場傾向として「安心」「近場」「簡単」なレジャーが求められると説明した。そのうえで、レジャー産業の課題を提示。3密対策に伴うキャパシティ抑制から、高付加価値化と価格戦略の見直しが求めれ、感染防止対策の観点から接客コミュニケーションのあり方が変化するとした。また、オンラインコミュニケーションが拡充していくことから、個人データに基づくパーソナライズされたサービス提供が増えると予測。さらに、人材の観点では、生産性向上や新たな人材育成方法が求められると指摘した。

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