ドイツ観光局は、オンラインプレス発表会でインバウンド市場の回復の見通しについて、訪独外国人宿泊数は、主要マーケットである業務渡航(法人の出張など)の回復が遅れるとの予測のため、2023年でも2019年比84%にとどまるとの見解を示した。
2019年の訪独外国人宿泊数は前年比2.6%増の8990万泊となり、10年連続で過去最高を更新したものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2020年1月-7月までの累計宿泊数は同59.9%減の2040万泊に落ち込んだ。
ドイツ観光局日本支局長の西山晃氏は、ドイツ国内の現状について、「観光産業は国の助成金で持ちこたえているが、観光関連企業の廃業も出てきている」と厳しい状況を説明。特に、MICEデスティネーションであるフランクフルトのホテル稼働率は依然として2割程度、ミュンヘンでも4割程度にとどまっているという。
日本人宿泊数は、パリのテロ事件があった2016年は落ち込んだものの、その後順調に回復し、2019年は約120万泊。特に12月はクリスマスマーケットの人気がさらに高まっていることから、11万512泊となり12月としては過去最高記録した。2020年については、5月以降ビジネス旅行者に若干の回復は見られるものの、1月-7月の宿泊数は前年比71%減となった。
ドイツ観光局では、今後のインバウンド市場について、欧州での感染拡大に歯止めがかからない状況であることから、回復は当初予想よりもさらに時間がかかるとしたうえで、将来的なトレンドとして、欧州周遊ではなく、一カ国を訪れる旅行が主流になり、団体旅行が減少する一方、個人旅行が増加するとの見通しを示した。
そのなかで、ドイツはナショナル・ブランド指標で「今後5年、安全で快適に訪問できそうな国」と「健康危機管理面で好印象を与えている国」でトップに選ばれるなど、コロナ禍でのイメージがいいことから、将来の回復に期待が持てるとの認識を示した。
SNSを中心に各プロモーションを継続
日本市場でのプロモーション方針としては、引き続きツイッターなどSNSでの発信を中心に展開していく。重点テーマとしては、都市と文化、宮殿・庭園・公園、観光街道、食文化を継続。当初は今年で終了予定だったベートーヴェン生誕250周年記念プロモーション(BTHVN 2020)を少なくとも来年9月まで延長する。さらに、新たにベートーヴェンに関する全6話のポッドキャストを配信し、ストーリーキャンペーンを進めていく計画だ。
また、今冬の回復は難しいとの認識から、来年の夏に向けて「German Summer Cities 2021」を各国の感染状況を見ながら展開していくほか、コロナ禍の巣ごもり期間に実施された共感キャンペーン「#Discover Germany From Home」も、9月末までにツイッターでの日本語ツイートに34万件以上のいいねを集めるなど好評なため、来年にかけて継続していく。