沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は10月28日に開催した定例の記者懇談会で、 2020年度の目標観光客数(入域数)を発表した。OCVBではこれまで、コロナ禍で減少した観光客数について、ホテルや航空会社の予約率から推測した月別の予測数を発表していたが、今回は年度予測に目標の意味合いを持たせた設定だ。
今年度上半期(4~9月)の観光客数は81.8%減の97万3100人だったが、年度(4月~2021年3月)での目標値は前年比39.1%の370万人。OCVB会長の下地芳郎氏は「上半期で100万人を切った状態から、いかに需要を回復していくか。事業と絡めてしっかり目標達成を目指す」と語った。
国内旅行者については、GoToトラベルキャンペーンの東京追加と修学旅行の回復基調で、かなり潮目が変わってきたと説明。単月では、10月は前年の5割まで戻るとみる。ホテルや航空会社の聞き取り調査からの予測では、11月、12月は7割~8割程度、1月、2月にはコロナ以前の2018年度並みの9割台を見込む。
特に修学旅行は10月以降、延期となった修学旅行が戻りつつある。一方で、10月後半から年度末まで、約1000校(約20万人)が延期のままとなっており、これらの学校に対して中止をせずに年度内に実施してもらえるよう、声掛けをしていく。
海外からの旅行者(インバウンド)についても国が徐々に国際往来を再開していることを踏まえ、来年3月までの2020年度目標として3000名を設定。今年度内の受け入れ再開を視野に入れる。4月以降、那覇空港に乗り入れる国際線全便運休による訪日旅行者数ゼロが続いているが、台湾との往来制限の緩和を睨み、3月には那覇/台北線を週1便で復便されるよう、働きかけていく。
台湾との往来再開に向けては、これまでも沖縄県との歴史的な交流の経緯を踏まえて国を含む各所に要請活動をしており、そこに対する目標値としての設定でもあるという。
下地氏は、いまのタイミングでこの動きを強めることについて、沖縄県経済に対する観光の重要性を強調した上で、国内の回復機運をインバウンドにも波及させ、「感染防止対策が優れている台湾との往来再開を目指すことで、インバウンド再開の1つのステップにしたい」との考えを示した。下地氏は先日も、国会議員との意見交換の際に、国が推進しているレジデンストラックやビジネストラックだけでは、レジャーマーケット中心の沖縄のインバウンド回復が遅くなることを訴え、再開を要望したという。
国内では需要回復に向け、緊急誘客対策
沖縄県とOCVBでは観光回復の改善に向け、今年6月に年度末までに実施する緊急誘客対策「憩うよ、沖縄プロジェクト」を発表した。沖縄県ではコロナ禍に、「防疫型沖縄観光の推進」と「観光客の消費単価向上」を重視した観光誘致に方針を変更しているが、さらに推進すべく、プロモーションを積極化。マスメディア活用と航空会社との連携によるプロモーションでは、県と追加予算について調整している。
下地氏は、「ニューノーマルの時代にあわせた誘客を、前向きに行うことが大切。これからの時代に選んでもらうためのアクションが必要」と、プロモーション強化の理由を説明した。
なお、下地氏は前述の国会議員との意見交換の中で、観光回復の牽引役であるGoToトラベルキャンペーンが、来年度末までの継続されるよう、強く要望したことも明かした。