航空機製造ボーイング社にとって2020年は最悪の年となった。パンデミックによって、航空機の需要が激減し、航空会社への引き渡し機数も大幅減。第4四半期の売上高は前年比15%減の153億ドル(約1兆6000億円)に落ち込み、84億ドル(約8760億円)もの損失を計上した。AP通信が報じている。
パンデミックによる影響だけではない。ボーイングは過去2年、2度の墜落事故を起こした737MAXの対応に追われ続け、さらに777X開発でも問題を抱えている。第4四半期の損失のうち65億ドル(約6780億円)が前払いした開発費に当たる。
3年前は100億ドル(約1兆430億円)の利益を上げたが、2020年通期の損失額は119億4000万ドル(約1兆2500億円)に膨れ上がり、2021年1月27日(米国時間)の株価は4%ダウンの194.03ドル(約2万円)に下落した。一株当たりの損失額は14.65ドル(約1500円)で、これはウォールストリートが予測した1.64ドル(約170円)の損失よりもかなり多い結果となった。
2度の737MAX事故とパンデミックによって、ボーイングの新規受注は過去2年頭打ちの状況が続いている。引き渡しも低迷。第4四半期には59機を引き渡したが、エアバスの225機には大きく遅れをとった。ボーイングは昨年、787の出荷を一時停止。3月まで再開されない見通しだ。
開発が遅れる777Xの引き渡し開始は、当初計画よりも3年遅れ、6ヶ月前に明らかにした予測よりも1年遅い、2023年後半になる見込み。
737MAXについては、やっと飛行が再開された。現在アメリカン航空などを含めて5社が運航を再開し、ヨーロッパの規制当局も運航再開を認めたが、最大市場である中国はまだ態度を明らかにしていない。
また、737MAXについては訴訟問題もボーイングに大きくのしかかる。ボーイングは今月、刑事訴追を避けるために25億ドル(約2600億円)を支払うことで合意。前従業員2人が安全性について規制当局をミスリードしたことも認めた。しかし、事故の被害者家族はこの解決策に不満を口にしている。
※円ドル換算は1ドル104円でトラベルボイス編集部が算出