日本政府観光局(JNTO)は、地域連携強化の一環として、JNTOスマートフォンアプリ「Japan Official Travel App」で取得したデータを同局「日本の観光統計データ」サイト内の「訪日旅行の動態を調べる」で無償提供する。
同局理事の金子正志氏はメディアブリーフィングで、JNTOが持つデータを望む声が多かったことから、「データに基づいたプロモーション施策で自治体などを支援していく」と一般公開の背景を説明した。
提供されるデータは訪日客の位置情報、滞在、宿泊、訪問地(1km四方単位)、各種アンケートの結果など。新規・リピーター別や地域別など、分析の目的に合わせて調べる範囲を設定することができる。位置情報については、アンケート結果とともに分析可能な形式で提供することで、「リアルで信憑性の高いデータ」(金子氏)を提供する。
また、地域の魅力ある体験型コンテンツを紹介する「Experiences in Japan」サイトに新たにタイ語ページを新設。さらに、欧米豪や東アジア向けにそれぞれの市場のニーズに合った観光コンテンツを約500件追加掲載するとともに、各コンテンツにおける感染症対策の実施状況をJNTOが作成したピクトグラムで表現した。
このほか、国内発信の強化として、JNTO公式グローバルウェブサイトの日本語化をさらに進めていく。これにより、JNTOの持つノウハウを国内の観光事業者と共有することで、地域の取り組みを支援していくほか、一般消費者への露出を高めることで、国内旅行需要の喚起にもつなげていきたい考えだ。
オリパラに向けて地方の魅力の発信強化
今夏の東京オリパラについては、海外からの観客受け入れが断念となった。金子氏は「JNTOの役割は、オリパラに観客を呼ぶことではなく、大会後に日本に来てもらうこと」と話したうえで、3月25日の聖火リレースタートに合わせて、さまざなメディアを活用したプロモーションを展開していくことを明らかにした。
具体的には、重点メッセージとして、東京以外の地方の知られざる観光の魅力とともに、障がい者や高齢者でも安心して旅行ができるアクセシビリティを訴求していく。
また、海外メディアの招請も強化。聖火リレーに合わせては在京海外メディアを対象にメディアツアーなどを実施するほか、5月~6月および大会期間中は、国が定める行動制約の範囲内で、受入地域との調整が整った場合、訪日メディア向けの視察ツアーも企画する方針だ。
そのほか、大会に向けてSNSやウェブサイトでの発信を継続し、大会期間中はCMやTV番組、屋外広告など展開することで、BtoCプロモーションを強化していく。
「まず、戻ってくるのは近場の市場とリピーター。この2つをターゲットにしていく」と金子氏。目的地として日本の人気は引き続き高いものの、特に感染状況が落ち着いているアジアから見ると、日本は感染拡大国という認識があるため、「人気があることと、観光客が戻っくることとは別問題。(海外からは)日本は予想以上に怖がられているという自覚を持つ必要がある」と課題も口にした。