JR東日本、デジタル化で変わる新形態の駅店舗を取材した、従来の旅行販売の場から脱却へ【写真】

東日本旅客鉄道(JR東日本)は2021年3月24日、新形態の店舗「JR東日本 駅たびコンシェルジュ」の第1号店舗をJR川崎駅とJR秋田駅に開業する。これに先駆けて、プレス向けの内覧会を開催し、新たに行う店舗サービスの一部を公開した。

JR東日本では2019年、個人型旅行商品の販売をインターネットに転換する方針を発表。旅行販売を担っていた駅の店舗「びゅうプラザ」は2022年3月末までに営業を終了し、「駅たびコンシェルジュ」店舗を展開する。つまり、JR東日本が旅行販売のデジタル化にあわせてサービス設計をした店舗だ。

新店舗には(1)旅のコンサルティング、(2)地域情報発信、(3)地域連携・交流の3つの機能を持たせ、「旅行販売」の場から、東日本エリアの観光情報を幅広く案内する「観光流動の創出」として展開する。JR東日本の鉄道事業本部営業部課長で観光流動推進グループリーダーの内川秀人氏は、「地域にも、観光での来訪者にも愛される店舗にする」と意気込む。

例えば、「旅のコンサルティング」では、来店客が検討している旅先にある店舗とウェブ会議ツールで繋ぎ、現地スタッフと訪問者が互いに顔を見せながら、より詳しい現地情報を提供できるようにする。また、店舗スタッフと地域が連携した街歩きガイドも実施。駅周辺のスポットを巡りながら、その土地の魅力や現地情報を、店舗スタッフが地元の目線で案内する。これらは「びゅうプラザ」では行っていなかった、初の試みになるという。

同日にオープンした秋田のスタッフにオンラインで繋ぎ、タブレット越しでリアルに秋田旅行を相談

さらに、旅行商品のネット販売への移行に伴い、シニア層などデジタル操作などが苦手な人には、ネット予約のサポートを実施。訪問者のスマホを用いて、操作の仕方からダイナミックパッケージ商品などの注文の仕方などまで丁寧に案内する。ネット予約に関わる利用者の不明点や不安の解消も図っていく。

来訪者自身のスマホで一緒に操作し、予約方法を説明する

このほか、同社の会員組織「大人の休日倶楽部」の案内をはじめ、地域との連携や企業タイアップなどによる各種セミナー・講座も開催。インバウンドの復活時には、訪日客や外国籍の訪問者用のフリーパス販売や引換、観光案内も行う。新形態の店舗では、幅広い客層に向けたサービスを提供するが、主要客層は「大人の休日倶楽部」などのシニア層と訪日客になるとみている。

店舗内ではセミナーや講座を開催できるスペースも。交流の場としての機能も有する

JR東日本では、「駅たびコンシェルジュ」が25店舗揃う2022年度には、個人型旅行商品を100%に近い形でネット販売になるとみている。ただし、同店舗では一部の添乗員付きツアーなどの申し込みは引き続き、商品説明用の紙媒体を用意して対応する。

店内は、JR東日本のクルーズトレイン「トランスイート四季」の車内でも採用している山形県「天童木工」の国産家具を使用し、温かみのある雰囲気に。

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