東京商工リサーチは、2021年度上半期(1~6月)の旅行業の倒産状況を発表した。それによると、倒産件数は前年同期比20%増の18件だったが、負債総額は2020年上半期の288億4100万円から大幅減となる17憶5000万円にとどまった。
2020年上半期は、旅行業では平成以降最大級の倒産(ホワイト・ベアーファミリー)が発生していたことから、今回は大幅な反動減となった。負債10億円以上の倒産は発生せず、小・零細規模が中心だった。新型コロナウイルス関連に伴う業績悪化を一因とする倒産は、18件中16件で全体の9割を占めた。
地区別では、関東6件が最多。中部、近畿、中国、九州が各2件で、北陸、北海道、東北、四国が1件だった。
新型コロナウイルスの感染拡大による国内外への旅行需要消失は1年半以上にわたっている。東京商工リサーチは「KNT-CTホールディングスが債務超過に陥るなど、大手もダメージが大きい。先行きの業況見通しは厳しく、過剰債務を抱えて資金調達が限界に達した小規模・零細企業による『あきらめ倒産』の増加が懸念される」と指摘している。