静岡県河津町にある高級旅館「桐のかほり 咲楽(さくら)」は、コロナ禍に「結婚式」と「写真」を切り口に業態転換を行った。従来の宿泊事業に加え、客室数が4室という小規模施設を生かし、全館貸し切りの結婚式などお祝いプランを開始した。
同旅館を運営するのは、茨城県ひたちなか市でブライダル事業やフォト事業を展開する小野写真館。2020年10月にM&Aで同館を取得し、運営を開始した。同社はコロナ禍で既存事業が打撃を受けるなか、写真を中核におき、「宿泊×写真」の掛け合わせで新事業を模索。コロナ禍で挙式ができないカップルが多くことを踏まえ、同館の立地や規模を強みに、全館貸し切りの結婚式プランを設定した。
プランの概要を実例で説明すると、新郎新婦と家族の計7名で2泊3日貸し切りで利用。滞在中は神社での神前式や近隣海岸でのフォトウェディング撮影に加え、新郎新婦の趣味である釣りを行い、釣果を両家の家族にふるまった。3日間、カメラマンが密着し、アルバムを制作したという。
今後も問い合わせや予約が好調に推移しているといい、同社は今後1年間で2桁の受注を見込んでいる。還暦や七五三、成人式などのお祝いのプロデュースも行う方針で、その一環として同館に1日1組限定のフォトスタジオも併設した。全館貸し切りプランも結婚式のほか、還暦祝いや銀婚式・金婚式などのお祝いプランを設け、通常の宿泊で得られる収益を2~3倍に増益できる見通しだとしている。