楽天グループとマリオット・インターナショナルは、 会員プログラムにおけるパートナーシップを開始した。両社は2021年10月に戦略的パートナーシップを締結しており、11月下旬からサービスを展開していくとしていた。
この提携によって、楽天会員の「楽天トラベル」からマリオット会員プログラム「Marriott Bonvoy (マリオット・ボンヴォイ)」への新規入会を促進していく。対象となるのは、ダイアモンド、プラチナ、ゴールド、シルバーの楽天会員。マリオット・ボンヴォイに登録したうえで、マリオット各ブランドのホテルを予約すると「楽天ポイント」が貯まるだけでなく、マリオット・ボンヴォイが提供するさまざまな体験や特典を受けることが可能になる。
マリオット・インターナショナル・アジア太平洋地区(中国を除く)プレジデントのラジーヴ・メノン氏は、今回の発表会見で「マリオットは、世界中で『ハイパーローカル戦略』を進めている。そのなかで、日本における楽天はパーフェクトなパートナー。今後、楽天会員にマリオットの価値を提供するとともに、旅行需要の回復に貢献していく」と今回の提携について説明した。
また、楽天グループ執行役員トラベル&モビリティ事業事業長の高野芳行氏は「マリオットとのパートナーシップによって、楽天会員に対するロイヤルティーがさらに拡大する。今後も会員の価値向上に取り組んでいく」と期待感を示した。
両社は、提携サービスの開始にあたって、記念キャンペーンを実施する。まず、2022年2月28日まで新規入会キャンペーンを展開。期間中に楽天トラベルからマリオット・ボンヴォイに新規入会し、国内のマリオット・ボンヴォイ参加ホテルを予約すると、初回に限り最大35%の割り引くほか、初回宿泊時は館内飲食20%割引に加えて、対象ホテルでウェルカムアメニティやレイトチェックアウトなどの特典を提供する。
また、無料宿泊券プレゼントキャンペーンも実施。2022年2月28日までに「楽天トラベル」上でマリオット・ボンヴォイに新規入会し、キャンペーンにエントリーすると、抽選で120人に国内のマリオット・ボンヴォイ参加ホテルの宿泊券が当たる。当選者の発表は2022年3月の予定。
さらに、マリオット・ボンヴォイのゴールドエリート会員の資格取得条件を25泊から8泊に短縮。2022年6月30日までに楽天トラベルからマリオット・ボンヴォイに新規入会し、その後90日以内にマリオット・ボンヴォイ参加ホテルに宿泊することが条件となる。
このほか、楽天トラベルは、サイト上でマリオット・ボンヴォイ参加ホテルの会員特別価格を表示して、ボンヴォイへの入会を促す。また、入会手続きにあたっては、楽天会員の情報を自動入力するなど「離脱を避ける取り組みも進める」(楽天グループ・トラベル&モビリティ事業ホテルパートナーシップ推進部ジェネラルマネジャー安田博祐氏)。
リベンジ消費に期待、ラグジュアリー旅行が市場を牽引
メノン氏は会見で現在の市場環境についても言及。「オミクロン株は懸念要因だが、日本を含め多くの国でワクチン接種が進み、入国制限も緩和されていることから、2020年と比較すると業績は改善している」と説明した。同氏によると、2021年第3四半期のグローバルでの客室稼働率は58%。2019年同期比でRevPAR(客室1室あたりの売上)は26%減となっているものの、客室単価は4%減にとどまっているという。
その背景として、ラグジュアリー旅行需要の高まりを挙げた。たとえば、2021年10月に海外旅行者の受け入れを再開したモルディブでは、同社7つのリゾートの第3四半期の宿泊者数は2019年同期比で150%になったという。メノン氏は「旅行をしたいというリベンジ消費はある」と話し、特にラグジュアリー旅行が市場を牽引しているとの見解を示した。
マリオット・インターナショナル日本・グアム担当エリアバイスプレジデントのカール・ハドソン氏は、日本市場について、リベンジ消費とともに、昨年の「GoToトラベル」で予約が好調に推移したことから、2021年2月にも再開が予定されている「新たなGo Toトラベル事業」にも期待感を表した。
マリオットは現在、日本では21都道府県で18ブランド73軒のホテルを展開。2021年6月には国内70番目のホテルとして「アロフト大阪堂島」をオープンした。2022年には、「東京エディション銀座」「ウェスティン横浜」など9軒を新規開業予定。さらに、積水ハウスと協業する「道の駅プロジェクト」でも「フェアフィールド・バイ・マリオット」の開業を進めることで、2023年までに100軒の開業を目指す。