ANAは、法人向け「SAF Flight Initiative:For the Next Generation」プログラムの受け付けを始めた。2022年4月からの運用開始を予定。従業員の出張で発生するCO2を削減することで、産業界での脱炭素に貢献するとともに、SAF(持続可能な航空燃料)の普及を進めていきたい考えだ。
この「コーポレート・プログラム」に参加する企業は、出張の際、利用するANA便からのCO2排出量を実質的に削減することになる。CO2削減量や割合などは、法人契約に基づいた利用実績を把握したうえで、個別の相談で決める。企業側は、ANAが発行するCO2削減証書をTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)などが求める開示情報の算出に使用することができ、ESG経営において他社との差別化が可能になる。
SAFの流通は現在のところ限定的で、価格も変動することから、コーポレート・プログラムでは定額購入レートは示していない。契約時の価格に加えて、年2回程度の価格変更を相談していく考えだ。契約期間は基本的に1年ごとを想定。中長期的な契約の相談にも応じる。
4月からは、コーポレートガバナンスコードが改訂され、再編される東証プライム市場上場企業には、TCFD要求水準を満たす気候変動関連情報の開示が求められることから、ANAはこのタイミングでのコーポレート・プログラム受け付け開始を決めた。
ANAでは2021年9月に輸送・配送でのCO2排出削減を促す「カーゴ・プログラム」を先行して開始。「近鉄エクスプレス」「日本通運」「郵船ロジスティックス」とSAFを活用した貨物便を成田/フランクフルト線で運航し、3社には第三者機関の認証を受けたCO2削減証書を発行した。今回の「コーポレート・プログラム」も含めて、バリューチェーン(Scope3)でのCO2削減を加速させる。