ANAホールディングは、2022年3月期決算を発表した。コストマネジメントを徹底し、固定費を大幅に削減したことから、2期連続の赤字決算となったものの、売上高、営業損益、当期純損益ともに前年から大幅に改善した。2023年3月期については、すでに順調なスタートを切っていることから、黒字化を見込む。
売上高は、年度を通じてコロナ禍の影響が続いたものの、国際線貨物収入は過去最高となり、旅客需要も回復基調にあることから、売上高は前年比40%増の1兆203億円を計上。
営業損失は前年の4647億円から1731億円に、経常損失は4513億円から1849億円に、当期損失は4046億円から1436億円にそれぞれ大幅に改善した。
セグメント別で見ると、航空事業の売上高は前年の6040億円から8850億円に増加。このうち国際線旅客(ANAブランド)の旅客収入は前年比56.8%増の701億円。旅客数は同93.2%増の82万5000人。通期ではコロナ禍以前の1割程度の水準にとどまったものの、今年3月から日本の入国制限が緩和されたことで回復の動きは一層強まっているとしている。
国内線旅客(ANAブランド)は、上期に緊急事態宣言が繰り返され需要が低迷したが、宣言解除後の第3四半期には需要は回復基調となり、旅客数、収入ともコロナ禍において四半期ベースで最高となった。第4四半期は変異株の拡大で再度需要が減退したものの、最終的に旅客収入は同37.8%増の2798億円、旅客数は同41.9%増の1795万9000人となった。
LCCのPeach Aviationは、第3四半期や今年3月の需要回復に加え、運航規模を拡大した効果もあり、収入は同71.3%増の378億円、旅客数は同105.1%増の426万7000人となった。
国際線貨物は、経済の回復による貨物需要の活発化に加え、海上輸送の混雑に伴う航空へのシフトなどによって、引き続き航空貨物需要は好調に推移。収入は同104.8%増の3287億円と過去最高となった。
このほか、4月にデジタル領域での販売強化に向けて、顧客データを活用したプラットフォーム事業を担うANA Xに移管した旅行事業については、売上高が同2.7%増の462億円、営業損失は前年の50億円から21億円に改善した。
2023年3月期の見通しについては、引き続き新型コロナウイルスの業績への影響は避けられないものの、航空需要の回復の兆しが見られることから、売上高は1兆6600億円、営業利益500億円、経常利益300億円、当期利益210億円の黒字化を予想している。