世界大手の旅行価格比較サイトのトリバゴ(Trivago)は、2021年にグーグル(Google)が行ったように、ホテルやOTAが無料で掲載できるリンクをサイトに加えるのだろうか。米観光産業ニュース「スキフト(Skift)」とのインタビューで、同社のアクセル・ヘファーCEOは、広告主からの有料リンクを補完するために、無料リンクの追加を検討することは認めた。しかし、実際にその計画に着手しているかどうかについては明言を避けた。
また、ヘファーCEOは、無料リンクは独立系ホテルが多い欧州では役立つ機能になるだろうとも述べている。
現在、トリバゴの大広告主は、ブッキング・ドットコムと主要株主であるエクスペティア・グループ。2022年第2四半期のトリバゴの委託収益の約81% は、ブッキング・ドットコム・ブランド (52%) とエクスペティア・グループ・ブランド (29%) によるものだった。
旅行比較サイト(メタサーチ)のビジネスは、広告主からのホテルリストの配置に関する入札と旅行者によるクリック数に応じた支払いで成り立っている。
そのなかで、グーグルは2021年に無料リンクを始めた。その背景には、大手だけでなく、中小企業も含めたより多くの予約サイトやホテルに参加してもらうことで、独禁法規制当局の監視を逃れたい思惑がある。
ヘファーCEOは、第2四半期の決算発表時にグーグルの無料リンクについて「大変興味深い」と発言。「トリバゴがグーグル・ホテルに無料リンクを設けた場合、その無料のトラフィックからの恩恵はプラスにしかならない」と続けた。
一方、トリバゴのマティアス・ティルマンCFOは、グーグルのリンク入札と自社の入札の競争環境を注視しているとしたうえで、「我々にとって、直接利益をもたらすか、長期的にプラスのリターンが期待できるかが重要だが、グーグルの入札に参加しても、一定期間にわたって素晴らしいリターンが得られる可能性は低い」と述べた。
トリバゴは今夏、主要な地域でテレビやオンラインでブランドキャンペーンを行っており、ヘファーCEOよると、これらの広告展開は有料のデジタルマーケティング活動 (Google などのプラットフォーム) より効果が高いという。
トリバゴは2021年にWeekend.comを740万ユーロ(約10億円)で買収。メタサーチビジネスに加えて、自社でも旅行販売を行おうとした。しかし、その実験的な取り組みは、今のところうまくいっていない。インフレ圧力によって、旅行者の掘り出し物を探す傾向が強まっているなか、トリバゴは、顧客の価値になると信じてきた価格比較サービスを、今後どのように展開していくのだろうか。
※ユーロ円換算は1ユーロ137円でトラベルボイス編集部が算出
※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:Trivago Considers Adding Free Links Like Google Did
著者:Dennis Schaal氏