企業コンサルティングのEYは、2022年5月から6月、世界各国を対象に広く実施した消費者動向調査(第10回EY Future Consumer Index:FCI)の結果を発表した。これによると、長引く生活費の高騰により「家計が心配」とする回答者は79%。低所得者層(87%)のみならず、中所得者層(77%)、高所得者層(64%)と、すべての所得階層で過半数を超えた。
特に欧米市場の経済見通しは、新興国やその他市場よりも悲観的だ。「今後3年間は生活が変わらないか悪くなる」と回答した人は、米国(54%)、英国(65%)、ドイツ(84%)、フランス(85%)などと、ブラジル(21%)、インド(24%)、サウジアラビア(37%)、中国(38%)に比べ多かった。
EYでは、世界の消費者が自身の価値観やライフスタイルを維持するため、支出の優先順位を再調整するようになると予想している。「サステナブルな商品や製品の価格高騰により、購入が非常に難しい」と回答した人は67%。一方で、「より積極的に中古品を購入する」(36%)は、2022年2月の30%から増加した。回答者の87%がフードロスをしないような消費方法を求めるなど、自身の価値観を実現するための代替方法を模索しているという。
同調査では新しいデジタル体験に関心を持つ人が少数ながら増加したと説明。デジタル通貨の利用(12%)やメタバース体験(9%)、バーチャル商品の購入(8%)などで、主に若年層と富裕層が牽引している。特に、デジタル通貨の利用ではミレニアル世代は18%、Z世代は15%に及ぶという。
なお、EY日本地区によると、日本市場の消費者は世界に比べ、今後の生活環境や経済見通しに対して悲観的であると説明。ただし、日本の消費者も環境に応じて消費行動を変容させており、サステナブルな消費向上に対する意識は向上していると説明した。また、デジタル空間での消費も拡大。これらのことから、日本でも消費者が費用対効果に納得できるサステナブルな商品・サービスや、デジタルを活用した顧客体験の提供が、企業の差別化要因になりえると説明している。