ヤフーは、地図と経路検索を提供するスマホアプリ「Yahoo! MAP」のルート検索画面で、航空便を含む経路が検索できる「フライトタブ」の提供を開始した。さらに、検索結果からヤフーパック(航空券+宿泊)の画面に遷移し、検索した経路の旅行予約をスムーズにする動線を提供する。
これまで、同アプリでは自動車や公共交通、徒歩、自転車のルート検索が可能だったが、飛行機移動のルートは、公共交通機関の検索結果から探す必要があった。今回の新機能の実装で、飛行機移動を伴う出発地から目的地までの全行程のルートを、スムーズに検索できるようになる。
Yahoo! MAPの担当者に、開発の背景と特徴を聞いてみた。
サービスマネージャーの山本拓巳氏はフライトタブの提供の背景について、「当社は現在、人の移動について、あらゆる場面でスムーズにおこなえるサポートを提供すべく、同アプリの改善を強化している」と説明。2021年9月に大幅なアップデートを実施してから、2022年6月には自転車のルート検索を開始し、その2カ月後に本フライトタブを実装するなど、機能強化を加速させている。
山本氏によると、以前は緊急事態宣言下など感染状況によって、ルート検索の需要も減少する傾向があった。しかし、現在は感染状況に関わらず、ルート検索の利用や外出自体が増えている。人々のマインドの変化を踏まえ、今後の航空機を使った国内の旅行や出張の需要増加を見込み、フライトタブの提供を開始したという。
ヤフーのフライト検索の特徴の1つが、検索結果からヤフーパック(航空券+宿泊)の画面に遷移し、表示されたフライトの航空券と宿をセットにした旅行を予約できるようにしたこと。同アプリでは、地図上に表示した飲食店や宿泊施設の予約を、PayPayグルメや一休など、ヤフー傘下のサービスに遷移して対応していたが、旅行系の予約サービスに遷移するのは初めてになる。
また、検索結果の見せ方自体にも、工夫を凝らした。航空会社名やフライトの発着時刻はもちろん、料金まで最大6件を表示。選択肢が増えるよう、運航会社や出発時間などのバリエーションが出るようにチューニングし、表示しているという。さらに、フライトの出発時刻をタップすると前後便のダイヤ表示もおこない、再検索を可能に。フライト前後の都合にあわせてルートの微調整をしやすくした。
フライトタブの企画・ディレクションを担ったYahoo! MAP担当の山浦優樹氏は、「大きなポイントは一覧表示。特に、全行程の検索結果でチケット(料金)を見せることは珍しい」と、ヤフーならではの見せ方に自信を示した。
今後、フライトタブではヤフーパックにとどまらず、航空会社の航空券予約サイトへの遷移などサービスの拡張も視野に入れている。また、Yahoo! MAPとしてもZホールディングス内の多様なサービスとシームレスな連携を強化し、シナジーを深める戦略感をもっているという。
Yahoo! MAPは、出発地と目的地を入力するルート検索のみならず、地図上から行きたい場所を見つけ出し、その発見を起点にしたルート検索ができるのも特徴。山本氏によると、旅行計画時に地図上で訪問先を選び、ルート検索する需要も増えているといい、今後もさらなるYahoo! MAPの強化を見据えている。