2022年8月31日、岸田文雄首相が記者会見で9月7日以降の水際対策の緩和について明言した。外国人旅行者に対して定められている1日当たりの入国者数上限は、現行の2万人から5万人に引き上げ。すべての国から、添乗員を伴わない訪日パッケージツアーでの入国を可能とした。訪日ビザに関する言及はなかった。
すでに9月7日以降は、入国前(帰国を含む)の陰性証明の取得を条件付きで不要とすることを発表しており、同日以降の緩和策の基本方針が示されたことになる。
会見で岸田首相は、今回の水際対策の緩和について「世界各国で国際的な交流が活発化しており、我が国もそうした交流に参加する」とともに、「(訪日客が来日した際の)円安のメリットを活かす」ものであることを説明。一方で、記者からの「G7並みとするのはいつか?」との問いには「内外の感染状況、ニーズ、世界各国の水際対策を勘案しながらさらに緩和を進めていきたい」と答えるにとどめた。
この方針を受けて、観光庁では、現行の「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」を改訂する方針。観光庁は、9月7日までに新たなガイドラインを公表するとしている。
今回発表された「添乗員を伴わない訪日パッケージツアー」の具体的なカタチは、改訂版のガイドラインで示されることになる。添乗員を不要としたことで、旅行者の行動は自由度が増すものと考えられる。また、パッケージツアーである必要性から、現在と同様に旅行会社が介在する形にはなりそうだ。
現行のガイドラインは?
日本は、6月10日に観光目的の訪日外国人旅行者の受入れを「添乗員付きパッケージツアー」に限って再開した。「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」では、具体的に受け入れ可能なツアーの条件や、ツアーを実施する旅行会社や添乗員、宿泊事業者などが留意すべき事項を取りまとめている。
現行のガイドラインでは、ツアーを実施する旅行業者や旅行サービス手配業者が受入責任者となることを規定。旅行業者は入国者健康確認システム(ERFS)へのツアー参加者の登録・申請と、「外国人新規入国オンライン申請時の制約事項」への同意が必要となっている。
「パッケージツアー」では1ツアーの参加人数は定めていない。いわゆるツアー(募集型企画旅行)だけでなく手配旅行であらかじめ行程が定められ、添乗員(有資格者の必要はなく、行程管理や行動把握できる帯同者)がつくフルエスコートであれば、個人でも訪日は認められている。添乗員が行動を把握できる範囲なら、自由に街歩きやショッピングを楽しむことも可能だ。
【編集部 追記】政府は、9月2日にガイドライン改訂の内容を発表しました。詳細は以下の記事をご参照ください。