ベルギーが日本とのビジネスを強化へ動き出した。2022年12月5~9日、ベルギーからアストリッド王女が国王名代として経済ミッションを率いて来日。観光・レジャー分野を含めた各業界から過去2番目の規模となる総勢276社575名が両国の経済交流の促進を目的に参加して東京、名古屋、大阪、京都をめぐり、両国間のビジネスの拡大を図った。
富裕層への成熟したオファーを
経済ミッションの公式な枠組みの行事の一つとして、ビジット・ブリュッセルとベルギー観光局ワロン地域が都内でパネルディスカッションを実施。旅行業界関係者とともに現地の最新情報やコロナ後の観光の可能性について語った。当日は、ビジット・ブリュッセル、ビジット・ワロン、ANAあきんど、ブリュッセル空港、外国政府観光局協議会(ANTOR)とともに、ブリュッセル首都圏政府の国務長官パスカル・スメット大臣も登壇した。
スメット大臣は、首都ブリュッセルの欧州におけるアクセスの良さ、多彩な魅力にあふれている点を説明。ブリュッセル空港 航空マーケティングマネージャーのタニア・トールオセピアンツ氏は「ブリュッセル空港は欧州のハブ」であると強調した。今夏、欧州の他空港においては多数の欠航などの混乱をみせたが、ブリュッセル空港では通常のオペレーションが行われていたとして機能的であることや欧州内の航空ネットワークの良さアピール。現在では、空港利用者数はコロナ前の8割まで回復しているという。
ディスカッションではANTOR会長のフレデリック・マゼンク氏(フランス観光開発機構)が、旅行トレンドの変化を指摘。インフレや円安によって、日本人旅行者にとって海外旅行が高額になっていることから、今後はリピート率が上がり、富裕層の旅行が増えていくと予測した。これらの旅行者は旅慣れており、成熟した旅行を好むため「しっかりオファーをしなければ売れない」と警鐘を鳴らした。
これを受けて、ANAあきんど代表取締役社長 菅谷とも子氏は、最近の航空座席販売について「ビジネスクラスから埋まっていく」ことを明かした。
2023年はイベントが続々
イベントではスメット大臣がコロナ後の観光復活に向けて、ブリュッセルで用意されている各種イベントや新規開業施設を紹介した。
ブリュッセルは、2023年をアール・ヌーボー・イヤーとして非公開だった建築物の年間を通して公開する計画。9月に開催されるコミックマンガの祭典、11月から1月のクリスマス市などとあわせてたのしむことができる。新たな施設では、市内に「BEER WORLD」が開館する予定で、ビール造りを学ぶツアーや試飲などの体験も用意している。2024年には、パリのポンピドゥー・センター別館の位置づけとなる「カナル・ポンピドゥーセンター」が開業。ベルギーで有名なキャラクター、猫の「LE CHAT(ル・シャ)」のミュージアムも開館するという。
なお、ミッションは連邦政府外務省、ベルギー対外貿易庁、3つの地域政府機関(フランダース地域、ブリュッセル首都圏、ワロン地域)の貿易・投資を管轄する政府機関が共同で開催。同国では通常は年2回のミッションを実施しているが、コロナ禍で中止が続き、再開となった今年は英国、米国、日本の3ヵ国で実施している。