【年頭所感】アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル・日本旅行(GBT NTA)代表取締役社長 マルコ・ペリッツア氏 ―出張の新時代が到来

アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル・日本旅行(GBT NTA)代表取締役社長のマルコ・ペリッツア氏が、2023年の年頭所感を発表した。

マルコ・ペリッツア氏は、航空業界のコストや人員等の圧迫によって、出張の計画に何らかの支障が出る予測がされていることを指摘。今後の出張は、出張中に起こりえる問題を減らし、出張前から出張後まで出張者の快適に重点を置く必要があると述べた。また、出張では社会的、環境的な配慮も重要視されるようになっていると指摘。サプライヤーに対しては、サステナビリティなど自社の事業価値を考慮する傾向も説明し、出張が経済的、社会的、環境的な進歩を推進する善の力であることが、再び証明されるとの考えを示した。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


2023年 年頭所感

出張の新時代が到来 – 企業の準備はできていますか?

2022年は、アジア太平洋地域の渡航条件や国境規制に関する緩和のペースが遅く、旅行業界にとって、年間を通して厳しい道のりとなりました。

しかしながら、多くのお客様にとっては、2022年は出張を再開する道を歩み始め、ビジネスとレジャー両面において、世界中の仲間や同僚、お客様と再びつながる機会となった1年でした。

人々の往来が活性化したことで、航空会社やホテルは新たな需要に対応するために奔走しました。日本はG7諸国の中で最も厳しい国境規制が敷かれていましたが、第4四半期にようやく渡航制限の大部分が解除されると、日本の旅行業界は目覚しい回復を見せました。日本政府観光局(※1)によると、11月の訪日外客数は934,500人(推計値)で、対2021年比で4418.4%の増加となりました。また、11月の出国日本人数は379,200人(推計値)で、対2021年比で632.4%の増加となりました。これらの大きな増加率は、旅行の需要が鬱積しており、人々が再び繋がることに飢えていたことを表しています。

新しい1年が始まったばかりですが、私たちは皆、どのように年になるだろうかと、今後の予測を知りたがっています。それを占う水晶玉は持っていませんが、何が起こりうるか、またどのようなことに注目すべきかという点について、事実に基づいた視点を持つために、トレンドや専門家の意見を調べることはできます。

2023年は、世界的に国境が完全に開放され、需要は着実に回復していくと考えられますが、問題はどの程度のスピードでどの程度のレベルになるかでしょう。

ミーティング&イベントは、今年の出張において弾力性のある分野であることが証明されるでしょう。

2023年のアメリカンエキスプレスミーティング&イベント予測(※2)によると、アジア太平洋地域の調査回答者は、2023年に対面式とバーチャルおよびハイブリッド形式のあらゆるタイプのミーティングが増加すると予測しています。全体として、アジア太平洋地域の会議費は2023年に2.7%増加する見込みです。

また、43%の会議がホテルで開催され、41%が参加者の宿泊を含み、36%がソーシャル活動やネットワーキングの機会を含むと予測しています。

この傾向は日本にとって特に有益なものです。というのも、アメリカンエキスプレスミーティング&イベント予測データによると、東京と大阪はアジア太平洋地域の会議開催地トップ5のうち1位と2位にランクされているからです。

このような環境の中で、企業や出張管理者にとっての課題は、いかにして出張費の価値を最大化するかということにあります。特に、日本発着便のビジネスクラスで3.5%の航空運賃値上げが予想されており(※3)、企業の出張予算への圧迫となるでしょう。また、これらの航空運賃値上げは、コスト、人員、キャパシティーの圧迫に起因していると考えられます。

航空業界が世界的に直面しているこれらの課題は、費用の問題にとどまらず、出張の計画に混乱をもたらす可能性が高いと考えられます。Egencia社の調査(※4)によると、頻繁に出張する人の69%が、現在、出張に何らかの支障が出ることを予測しています。にもかかわらず、直接の対面によるコラボレーションは、出張による一番の利点であると回答者の約30%が答えています。

特に、タイトなスケジュールと重要な期限に追われる出張者にとって、混乱への対処は困難を極めます。したがって、企業が出張プログラムを見直す際には、出張中に起こりえる問題を減らし、出張の計画、予約、変更依頼において出張者が自主的に行動できる機会を新たに設けるなど、出張前から出張後まで、エンドツーエンドで出張者の快適性に重点を置く必要があるでしょう。

出張費に関しては、出張管理者は常にボトムライン(収益性)に目を向け、出張の価値、目的、投資対効果(ROI)を熱心に吟味してきました。現在の環境では、出張費、出張規程、最良の方法などの決定事項に加え、社会的、環境的な配慮がますます重要視されるようになっています。

また、企業は、サプライヤーが自社の事業価値に合致していることを望んでいます。このことは、サステナビリティというトピックにも表れており、アジア太平洋地域の出張・会議担当者は、企業がミーティングを計画する段階でサステナビリティを考慮しているかという質問に対して、86%が「はい」と回答し、83%が「サステナブルな会議戦略が定義されている」と回答しています。

2023年は、企業の出張管理担当者にとって興味深い年になるでしょう。複数のステークホルダーを巻き込み、複数の優先事項の間で微妙なバランスを取る必要があると思われます。

また2023年は、出張が、経済的、社会的、環境的な進歩を推進する力として、善の力であることが再び証明されるでしょう。

最後に、GBT NTAを代表し、旅行業界全体とトラベルボイスの読者の皆様にとって、2023年がすばらしい一年となりますようお祈り申し上げます。

※1 https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/20221221_monthly.pdf
※2 https://www.amexglobalbusinesstravel.com/content/uploads/2022/10/2023-Global-Meetings-and-Events-Forecast-opt.pdf
※3 https://www.amexglobalbusinesstravel.com/content/uploads/2022/12/Air-Monitor-2023.pdf
※4 https://www.egencia.com.au/en/egencia-survey-reveals-business-travelers-tech-reliance-during-disruption

アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル・日本旅行(GBT NTA)

代表取締役社長 マルコ・ペリッツア

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