フランスの旅行商談会「ランデヴーアンフランス2023(RVEF 2023)」が2023年3月21日と22日にパリで開催された。昨年、2019年以来3年ぶりにナントで再開されたが、今回はフランスからの出展者660社、旅行会社は世界から786社、そのうち日本からは厳しい水際対策が続いていた前年の15人から47人に増え、ほぼコロナ前2019年の水準に戻り、本格的な復活を印象付けるイベントとなった。
フランスのインバウンド旅行市場は急速な回復を見せている。2022年は、欧州域内および米国からの旅行者が急増したことから、国際観光収入は580億ユーロ(約2.5兆円)を記録した。フランス観光開発機構(アトゥ・フランス)のカロリーヌ・ルブシェ総裁は、記者会見で「欧米のマーケットの回復は著しい。今後、長距離市場の回復を目指し、特に日本と国境が再開された中国に注力する」と話した。また、今年9月からフランス各地で開催されるラグビーワールドカップ、2024年夏のパリ・オリンピック・パラリンピックをフランス観光の魅力を発信する機会として活用していく考えも示した。
スローツーリズムでサステナビリティ
アトゥ・フランスは2023年も「Explore France」キャンペーンを継続。「Dream Big、live slow」をタグラインに、今年は、サステナビリティツーリズムに焦点を当てる。民間企業とのパートナーシップなどを通じ、計1000万ユーロ(約14億円)を投資。「自然・スローツーリズム」「アート・食」「文化遺産」を3つのテーマとして掲げ、サステナビリティに敏感なファミリー、DINKS(子供がいない共働き夫婦)、ミレニアル世代を主なターゲットにプロモーションを展開し、長期滞在を促していく。
各地域観光局も、サステナビリティを意識したプロダクトを紹介。特に、鉄道旅、サイクリング、地産地消ガストロノミー、自然体験などのコンテンツをアピールした。
一般向け五輪チケット販売、日本は8位に
パリ・オリンピック・パラリンピックについての会見では、Paris2024スペシャル・アドバイザーのティエリ・レイ氏が、「セレブレーション」「レガシー」「エンゲージメント」の3の柱で大会を進めていくと説明。「セレブレーション」では、開会式をオリンピックではセーヌ川沿いで、パラリンピックではコンコルド広場で行うことで、「パリ観光のショーケースにしていきたい」と意欲を示した。
また、「レガシー」では、会場の95%を既存施設を活用するほか、新規建設する競泳会場などでは、大会終了後に公園、住居オフィス、多様なスポーツ施設を整えるなど市民が活用できるエリアに再整備する。
さらに、サステナビリティでは、大会期間中のCO2排出量を半減させる取り組みを進めるほか、ダイバシティの観点から男女格差の解消にも注力する。
このほか、ホスピリティプログラムを担当するオン・ロケーション社のフレデリック・ファべット-ボン氏が、3つのホスピタリティ・プログラムについて説明。パリ市内の「CLUBHOUSE 24」では、マルシェ、ミュージックライブ、スポーツデモンストレーション、各種エンターテイメントアクティビティなどを提供し、大会を盛り上げる。また、「オンサイト・ホスピタリティ」では、公式競技場でさまざまな体験を提供。「旅行パッケージ」では、観戦チケットと宿泊、交通機関などをセットにした販売を行う。
すでに第1期の一般向け抽選チケット販売が終了。ファべット-ボン氏によると、現在のところ、BtoCの販売数では米国がトップ、地元フランスが2位、英国が3位。欧米各国がトップ10を占める中、日本も8位に入っている。
日本では、JTB、日本旅行、近畿日本ツーリスト、東武トップツアーズが、オン・ロケーションが構築する販売ネットワークに参加する。
パリ特派 山田友樹