フランスで国内3路線の禁止法案が施行、一方でCO2排出量削減の切り札はSAF(持続可能な航空燃料)か

フランスで2023年5月23日、鉄道で2時間半以内の代替移動手段がある場合、飛行機の国内線を禁止できるようにする法案が成立した。背景となるのは、航空機による二酸化炭素排出量の削減への動きだ。対象となるのは、パリ・オルリー空港とナント、リヨン、ボルドーを結ぶ3路線。3年後に今回の措置を検証し、成功したと判断されれば、飛行禁止路線を追加する。

一方で航空データ分析OAGは「新しい法律は航空会社による二酸化炭素排出量と持続可能性の議論に影響を及ぼす。しかし、国内線は歴史的に採算が悪い。代替交通手段が常に改善されている中、環境負荷の改善を進めるためには持続可能な航空燃料(SAF)の導入を進める方が現実的だ」と指摘している。

OAGは、同社のデータから、今回のフランスの措置だけでなく、欧州主要国の国内線が減少している状況を公表した。2019年夏季との比較で、2023年夏季のフランスの国内線便数は22.9%減の約11万9000便、ドイツは46.8%減の約7万5000便、英国は20.8%減の約14万2000便となっている。

たとえば、イージージェットは、直近の決算報告の中でドイツ国内線からの撤退によって業績が劇的に改善したと説明している。OAGによると、大半の国内線は非常に採算性が悪く、収益を上げているのは長距離線への接続便だけだという。

フランスでは、ボルドー、リヨンなどのハブ空港で毎日運航されていた路線のうち13路線(18%)が2019年夏季以降、姿を消した。ドイツでは、毎日運航している路線は2019年夏季の28空港から2023年夏季は11空港に減少した。

今回のフランスの措置は、需要の高い接続便は対象外。OAGのデータによると、2022年の接続便のない路線の割合は、ボルドーで30.4%、リヨンで17.8%、ナントで11%。2019年夏季との比較で、2023年夏季の接続便含めた全体の便数は、ボルドーで22.9%減、リヨンで46.8%減、ナントでは逆に3.3%増加している。

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