HIS、中間決算で赤字縮小、大幅増収、海外旅行が本格回復で「トンネルの出口見えた」、旅行事業が3年ぶりに黒字化

エイチ・アイ・エス(HIS)が発表した2023年10月期第2四半期(2022年11月1日~2023年4月30日)の連結業績は、主力の旅行事業の需要回復傾向を受けて大幅な増収となったものの、営業損益、経常損益、純損益のいずれも赤字となった。ただし、赤字額は大幅に改善した。

売上高は前年比50%増の1029億円。営業損失は34億円(前年:281億円)、経常損失は36億円(同:281億円)、純損失は48億円(同:269億円)だった。旅行事業とホテル事業が、売上と利益に貢献した。

HISによると、主力の旅行事業において、日本発の海外旅行需要が本格的な回復傾向を見せている。旅行事業の売上高は797億円で、前期より562億円増加。営業損益は35億円で、前期から113億円改善した。

特に、コロナ前には同社のグループ利益の8割を作っていた海外旅行は、直近3カ月の第2四半期単体で、営業損益で3年ぶりに黒字化を達成。決算会見の場で、代表取締役社長の矢田素史氏は「トンネルの出口が見え始めた」と手ごたえを話した。夏のピークを迎える7月~9月の予約も、2019年比7割前後で推移。今後はボーナス商戦に向けた販促策を投下して「連結で黒字回復を達成し、成長軌道へ戻したい」と意気込んだ。

同社ではコロナ禍で人員の削減を進めたが、集客の多い週末は「不足感がある」といい、高まる需要に対応できるよう、派遣や再雇用などで人員補充をする考えも示した。

また、その他の旅行事業では、国内旅行は全国旅行支援の影響を受け、取扱高は2019年比で1.4%増とコロナ前を上回った。ただし、訪日旅行に関しては依然として中国からの需要が戻らず、2019年比78.1%減と停滞している。

旅行事業以外では、テーマパーク事業はハウステンボスの売却の影響で売上高が12億円となり、前年から大幅に減少。営業損益は2億円の赤字となった。

ホテル事業は売上高が130%増の82億円となり、2019年の55億円を上回った。営業利益も5000万円と黒字化。現在、HISホテルホールディングスの代表取締役社長を務める澤田秀雄氏(HIS取締役最高顧問)は、「現在の予約状況は非常に良くなっている。この3年で、ホテルは45軒に拡大した。将来に向けさらに増やしていきたい。もっと大きな黒字を生んでくれると思う」と期待を示した。

※編集部注:記事公開時にホテル事業の営業利益について誤植がありました。2023年6月15日11時35分の段階で修正をしております。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…