旅行テクノロジーの国際会議「WiT Japan & North Asia 2023」が、2023年7月5日に開幕した。コロナ禍以降、4年ぶりに完全リアルでの開催とした本イベントには、国内外から多数が参加し、会場内で活発なネットワーキングをする姿が見られた。
1日目は中国のアリババ系OTA「フリギー(Fliggy)」など、今後のグローバル旅行市場の成長をけん引していくアジア地域のトッププレイヤーが競演。今年のテーマ「Hello, New World」に込められた「パンデミックがもたらしたイノベーションなどにより、旅行業界はどう変わったのか。これからどう変えていくべきか」に迫るコメントが多数、発信された。
東南アジアの経済成長を背景に台頭する同地区最大手のOTAトラベロカ社長のシーザー・インドラ氏も登壇。WiT創始者イェオ・スーフン氏が欧州におけるCO2排出ゼロに向けた飛行機移動を抑制する傾向の影響を聞いたところ、インドラ氏は「欧州の動きはアジアの旅行の成長に影響はない。いかに業界のステークホルダーが解決策を提供するか。サステナブルな形で楽しめる旅行を提供するかにかかっている」と言い切った。
東南アジアの人口6億9000万人の半数が30歳未満の若者であり、今後、海外旅行に関心を持つ若い中流層が増えることは確実。インドラ氏は、恵まれた市場に胡坐をかくのではなく「全体的な潮流は持続可能な旅行であり、我々も適応しなければならない。そのうえで、旅行に関心のある人の気持ちをいかに高め、充足させるかが重要」と続けた。
また、韓国からはTidesquareとGCカンパニー、スタートアップのなかでもユニコーンと呼ばれるMyRealTripが登壇。勢いよく回復し、すでにコロナ以前の実績を抜き去った同国の海外旅行の業況を共有した。MyRealTripでは取り扱いの旅行者数が、コロナ前のほぼ倍に。同社創業者兼CEOのドングン・リー氏によると、韓国の航空会社は日本をはじめ、いま海外旅行に行く若い世代が好む近距離路線を意識的に増やしていることも、奏功しているという。
このほか、WiT名物のスタートアップピッチは、今回は「ショーケース」として2日間にわたって実施される。初日の登壇者は6組。そのうちのひとつ、WAmazing CEOの加藤史子氏は訪日外国人観光客向けの免税EC自動販売事業を説明、事業に対する鋭い質問をする“ドラゴン”たちを巻き込んだプレゼンテーションで会場が沸いた。
なお、2日目(2023年7月6日)は、注目のフィンテックOTAホッパー(Hopper)をはじめとするグローバルOTAや日本のOTA、ホテルや民泊、タビナカなど、多彩な登壇者が“New World”を披露する。