米旅行調査のフォーカスライトは、このほど「中国旅行マーケットレポート2022~2026」を発表した。
中国発の海外旅行に注目が集まりがちな中国の旅行市場だが、今後の行動や消費パターンの変化を知るために、同レポートでは、より幅広く、同国の旅行市場の全体像を調査。中国ではコロナ禍が2022年まで長引いたことから、需要回復のベンチマークには2019年の数字を用いて比較した。
中国の国内旅行は、2019年の60億回から、2020年には28億回へ激減。翌2021年には34億回まで戻ったが、2022年は再び減少に転じて26億回となった。旅行への規制が解かれた2023年については、対2019年比で92%となる55億回まで回復するというのが、国旅游研究院(CTA)の予測だ。
一方、フォーカスライトの中国旅行マーケットレポートでは、2023年の旅行予約総額は、前年比72%増の1537億ドル(約22兆6000億円)となり、2019年実績を上回るのは2024年としている。今後の成長要因については、以下のように分析している。
- 中国の消費者の間では、もともとモバイル利用が浸透しているが、アプリ技術の向上によって、さらにマーケットの進化が続いている。その影響により、旅行消費においてもトレンドや行動様式がたえず変化し、多様化している。オンライン旅行のインフラでは、モバイル予約とキャッシュレス決済が主流になっている。
- 中国の航空各社は、地域路線における熾烈な競争相手となっている。中国製の航空機の導入も始まっている。
- 国内の高速鉄道ネットワークは、その規模において圧倒的だ。時速をさらにスピードアップした鉄道の導入や、快適性の向上にも取り組んでいる。
- レンタカー市場は、急速に拡大中。モバイル予約の配車サービス人気が高まるなか、こうした需要への対応も進めている。
- ホテルの新規開発が再び活発になっており、低予算型から中級クラス、ラグジュアリータイプまで、中国各地で開業が増えている。
- MICE市場も回復基調にある。クルーズ市場は、中国製の船が登場するなど、新時代を迎えている。
同レポートでは、中国マーケットの規模予測、流通トレンド、主要業種の分析、カギとなる最新動向などについてまとめている。詳細は以下のリンクへ。
調査レポート(英語)「中国旅行マーケットレポート2022~2026」
※ドル円換算は1ドル147円でトラベルボイス編集部が算出
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営する「フォーカスライト(Phocuswright)」から届いた英文記事を、同社との正規提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:Key barometers of Chinese travel and its emerging behavioral and spending patterns