北米の航空会社は、コストが高騰する中、次の収益源として2024年は北米/アジア間の路線への回帰を加速させている。アジア路線の回復は、長距離国際線が収益の大きな部分を占める航空会社にとっては極めて重要だ。
2022年夏、北米航空会社は欧州路線での需要拡大を受けて航空運賃を上げたが、今後は輸送力が拡大していく。このことから、一部のアナリストは、2024年の高い利益率は望めないと分析している。
太平洋路線の出張需要が回復傾向にある中、グローバル・ビジネス・トラベル・アソシエーション(GBTA)のデータによると、アジア太平洋地域の旅行支出は2023年41%増加して5670億ドル(約86兆円)に達し、2027年までに8000億ドル(約121兆円)に増加すると予想されている。
エア・カナダのネットワーク計画担当副社長のマーク・ガラルド氏は、ロイター通信に対して「来年のアジア路線の旅客数は2019年の水準の80数%近くになる」と明かした。
航空データ分析シリウムによると、ユナイテッド航空、アメリカン航空、デルタ航空は、今四半期にアジア太平洋路線で提供する座席数は2019年と比べて少ないものの、その数は年間ベースで75%増加しているという。また、3社の2024年3月までの提供座席数は前年比で約79%増になると予想。これは欧州路線の同6%との予測を大きく上回る。
パンデミック後、アジア太平洋地域は、世界的に旅行需要が回復する中、米国や欧州に後れを取ってきた。国際線の輸送能力は依然として2019年の水準を下回っている。
ただ、供給が需要に追いつかないために、航空会社の利益率は上昇。ユナイテッド航空とデルタ航空は2023年第3四半期、太平洋路線の収益が大西洋路線に次いで多くなった。
デルタ航空は今後、増収を見込んでアジア太平洋路線の輸送能力を最大50%増加させる予定。またもユナイテッド航空も第4四半期のアジア便の座席数を前年同期比でほぼ2倍に増やした。
エア・カナダは、米国の都市からカナダ経由で海外に向かう需要を取り込む戦略をとっている。現在、同航空の輸送量は欧州路線が約80%、アジア路線が約20%だが、アジアの需要が増加するにつれて、その割合はシフトしていくとしている。ガラルド氏は、「来年の具体的な数字を出すのは時期尚早だが、我々の予想では、5~10%の範囲でシフトするのではないか」と話す。
しかし、問題もある。ロシア上空での飛行ができないことと、中国人観光客が完全に戻っていないことだ。
※ドル円換算は1ドル151円でトラベルボイス編集部が算出
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。