日本修学旅行協会はこのほど、2022年度に実施された中学校・高等学校の修学旅行に関する新型コロナの影響および今後のあり方をまとめた全国修学旅行調査の速報版を公開した。
それによると、中学校・高等学校ともに「計画通り実施」が6割を超え、1割未満にとどまった2021年度に比べ、大きく改善したことが浮き彫りになった。ただ、海外修学旅行の実施は中学校0.3%、高等学校0.2%とごくわずかだった。また、今後の体験内容・見学場所は「総合の時間と連携させる」「探究型プログラムの実施」との回答が中学校・高等学校ともにトップ1、2を占め、新学習指導要領の完全実施に伴い、修学旅行の中身が大きく変化しつつあることがみてとれた。
時期は分散、高校は東京・沖縄人気が復活
調査は国公立、私立の中学校1万12校から3200校、高等学校4824校から3200校を抽出してアンケート調査を実施。中学校855校、高等学校899校から回答があった。
これによると、中学校828校のうち、計画通り実施したのは67.3%、出発日・日数・方面などを変更して実施したのは32.1%で、99%が2022年度中に実施した。国内修学旅行の実施時期は、国公立は5月に集中しており、10、11月が多かった2021年度から変化が見られた。私立は10、11月が多かった。行き先のトップ3は京都(シェア20.1%)、奈良(17.2%)、大阪(6.9%)で、山梨、長野、三重などにも分散していた2021年度に比べ、関西人気の復活が見られた。
また、高等学校においても、計画通り実施と変更の合計が95.3%を占めた。国内修学旅行の実施時期は10~12月が多いが、2021年度に比べ、6~9月が増えており分散化傾向もみられる。行き先のトップ5は、大阪(13.5%)、京都(12.9%)、沖縄(7.9%)、東京(7.7%)、奈良(7.3%)の順。コロナ禍には避けられる傾向にあった東京(2021年度は20位県外)、沖縄(同4.7%)が回復してきた。
総合の時間との連携がカギに
重点を置いた活動は「歴史学習」が、中学校、高等学校ともに群を抜いてトップだった。また、今後の体験内容・見学場所で回答が多かったのは、中学校が「総合の時間と連携させる」、「探究型プログラムの実施」、「SDGsをテーマとしたプログラムの実施」、「旅行実施中にICTを積極活用する」、「平和教育・平和学習を取り入れる」の順。高等学校が「探究型プログラムの実施」、「総合の時間と連携させる」、「平和教育・平和学習を取り入れる」、「旅行実施中にICTを積極活用する」であり、事前事後学習を視野に入れた総合の時間との連携、探究型プログラムへのニーズが高まっていることがわかる。