東京・大田区のインバウンド向け銭湯体験ツアー、デジタルとリアルを融合させた新感覚コンテンツを体験してみた

東京都大田区では、羽田空港に到着するインバウンドを取り込むプロジェクトが進められている。JTBコミュニケーションデザインの「羽田を拠点としたビジネスマッチング型ツアーと日本文化のエクスカーション型ツアーの開発事業」が、観光庁の「観光再始動事業」で採択されたことを受けて進められているもの。そのうち、区内の老舗銭湯「改正湯」で行われるデジタル銭湯体験ツアー「”SENTO” New Entertainment Experience Tour in Ota, Haneda area」を体験してみた。

このプロジェクトは、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)が進捗管理と効果測定を行い、日本旅行が企画・プロモーションを担当。VRコンテンツやアプリの開発はABAL社、銭湯でのプロジェクションマッピングは、地元の東京工科大学デザイン学部の学生とのコラボ企画として制作。産官学の取り組みで進める。

EYSC公共・社会インフラユニットパートナーの中田博之氏は「大田区は、羽田空港はあるものの、通過点になっている。ものづくりの文化、昭和レトロ、日常生活などインバウンド観光のポテンシャルはある。これを契機に集客の拠点にし、区内を周遊させていきたい」と意欲を示す。

また、大田区観光協会事務局長の飯嶋清市氏は「大田区に銭湯をはじめ様々な魅力はあるが、その良さの発信力が弱かった。今回の事業を通じて、それを強化していきたい」と話した。大田区の銭湯の数は都内最多。その約半数が温泉であることは、日本人の間でもあまり知られていない。

(左から)大田区観光協会事務局長の飯嶋氏、日本旅行ソリューション事業本部の久木浩明氏、EYSCの中田氏、ABAL代表取締役の尾小山良哉氏デジタルでつながるツアー

この取り組みの特徴のひとつがバーチャルとリアルとの融合。デジタル技術でリアル体験を増幅させるところにある。参加者は羽田空港に集合した後、羽田イノベーションシティに移動し、チェックインを行う。QRコード付きのパスからスマホでQRコードを読み取り、このプロジェクトのウェブアプリにアクセスすると、個別に付与されるイベントIDで位置情報とデジタルパンフレットが連動する。

ツアーの移動中に、デジタルパンフレットがその位置によって切り替わる仕組み。ABALのUX連携ソリューション「Compass」が活用されている。

ウェブアプリ上のデジタルマップ銭湯入門となるVR体験は羽田イノベーションシティで実施。「銭湯好き江戸っ子」キャラクターが、銭湯文化とマナーを案内する。マナーでは、掛け湯をすること、タオルを湯船につけないこと、スマホを持ち込まないなど、日本人にとって常識であっても、外国人にはおそらく不案内な注意事項をクイズ形式で指南する。時間は5分程度。このVRは、空間拡張技術を用いたABALのソリューション「Scape」を用いた。

掛け湯をせずに湯船に入るのは、"Guilty?" or "Not guilty?"

蒲田の「改正湯」には貸切バスで移動する。改正湯は美肌効果が期待できる「黒湯」。改正湯手代の井上結揮氏は「銭湯は街に生かされている。住んでいる人たちの人生で成り立つもの」と挨拶し、東京工科大学の学生が制作の背景を説明。それが英語に通訳された。

貸し切りの浴室空間を彩るプロジェクトションマッピングでは、四季、童話、祭りなど様々な日本の季節感と文化を表現。銭湯絵の富士山も効果的に使われていた。時間は約20分。ツアーでは黒湯で足湯を体験しながら、その異次元空間を楽しむことができる。

花火で夏の日本を表現実際のツアーでは、改正湯の後に寿司屋に移動。人気の寿司を堪能しながら、ウェブアプリではその歴史を学べる仕掛けもつけた。

JTBコミュニケーションデザインが採用された観光再始動事業では、日本旅行は、デジタル銭湯体験ツアーに加えて、カヤックツアーも企画。また、JTBは、大田区のものづくり会社と海外の企業のマッチング事業およびクルーズツアーを企画している。

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