アマゾン、ホテル向け「Alexa(アレクサ)」が登場、日本でも法人サービス開始、一括導入が可能に

アマゾンジャパン(Amazon)は、パーソナルAIアシスタントAlexa(アレクサ)の法人向けサービスとして「Alexa Smart Properties (ASP/アレクサ・スマート・プロパティー)」の提供を始めた。すでに欧米7カ国で導入されているが、日本では初めて。アマゾンと契約するソリューションプロバイダーを通じて、アレクサの機能を企業が運営する施設で一括導入・管理することができる。また、各施設に合わせたカスタマイズにも対応。観光分野では、ホテルの領域でサービスを開始した。

アマゾン・アレクサ・スマート・プロバティーでディレクターを務めるブラム・ドゥカブナイ氏は説明会で、「日常生活で使われているアレクサの利便性と快適性をビジネスソリューションとして提供する」と説明したうえで、「すでに導入国では、スタッフの負担軽減や業務効率化、収益の改善で実績も出ている」と強調した。

ASPの日本初導入を説明するドゥカブナイ氏。

また、同社Amazon Alexaインターナショナル事業開発本部本部長の澤田大輔氏が、日本向けのASPの概要を説明。その導入の意義として、超高齢化社会、労働人口の減少、インバウンド需要の拡大、スマートホームの普及の4点を挙げたうえで、主に高齢者施設、宿泊施設、マンション/賃貸住宅、地方自治体の4つの領域で導入を進めていく方針を示した。

各領域では、ソリューションプロバイダーを通じてサービスを提供。現在のところ、高齢者施設ではNTTデータ、マンション/賃貸住宅ではアクセルラボ社とmui Lab社、地方自治体ではNTTビジネスソリューション、宿泊施設では宿泊施設向けAIスピーカーを提供するTradFit(トラッドフィット)社がパートナーとなる。

ASPは、APIによる設定・管理を行うサービスのため、Alexaアプリは利用しない。そのため、使用するアカウントは、Alexaの個人名義のアカウントではなく、匿名化された法人アカウント。企業や自治体を通じてアマゾンに個人情報が提供されることはないため、プライバシーとセキュリティが担保されるという。デバイスの設定や管理は、管理者が一括して行う。

さらに、ソリューションプロバイダーを通じて、各施設でカスタマイズが可能なことから、澤田氏は「それぞれの施設に特化した体験を提供できるほか、業務の効率化や生産性の向上にも貢献できる」と自信を示した。

澤田氏は、「今後ソリューションプロバイダーを拡大していくとともに、導入施設と台数を増やしていきたい」と意欲を示した。

ASPの概要を説明する澤田氏東急ホテル&リゾーツ、新規開業ホテルに導入

ASPのサービス開始に合わせて、宿泊施設領域では、東急ホテル&リゾーツが2024年1月16日に札幌に開業するライフスタイルホテル「SAPPORO STREAM HOTEL」のプレミアムクラスにEcho Show 8を56室に導入する。

同社常務執行役員東日本エリア統括の宮島芳明氏は「宿泊者体験を高めることがミッション。ASPを通じて、北海道の魅力を宿泊体験を通じて伝えていく」と話し、ホテル独自のおすすめ情報のほか、地域と協力しながら周辺の観光情報も提供していく考えを示した。また、客室ディスプレイとの連動で、館内の施設情報を提供することで、館内での売上増加にも期待をかける。さらに、チェックイン/アウト時の宿泊者対応での負担軽減など業務効率化でも期待は大きい。

宮島氏は「ASPを通じて、知らない北海道の魅力を伝えることで、リピーターの獲得にもつなげていきたい。さらに、北海道地地域への誘客も進めることで、地域創生にも貢献していきたい」と話した。

ASP導入への期待を語る宮島氏現在のところ、日本語と英語がデフォルトになっているが、TradiFit代表取締役の戸田良樹氏は、「カスタマイズとして多言語化も視野に入れている」と明かした。また、戸田氏は、さまざまな宿泊施設からの問い合わせは多いとして、年末まで数千台、今後1年間で1万台ほどの導入が可能ではないかとの見通しを示した。

このほか、地方自治体領域では、熊本市がASPの実証を進める。同市では、交通弱者の移動、自治会の運営、つながりの希薄化が課題になっているほか、サービス提供者の間では人員不足と業務負担が深刻化していることから、ICTを活用した新た都市計画を進めているという。

具体的には、ASPを高齢者世帯宅や地域包括支援センターなどに導入し、生活情報や公共交通やAIデマンド交通のの運行情報を提供することで、「高齢者の生活の質を向上させる新たなサービスモデルを構築し、誰でも移動しやすい持続可能な街づくりを目指す」(熊本市都市建設局都市政策部市街地整備課課長の三宅史子氏)。

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