深刻なバスドライバー不足に国の支援を要望、「外国人運転手や自動運転の実現を」、日本バス協会

日本バス協会は2024年1月18日、通常理事会と新年賀詞交換会を開催し、バス業界の情勢と現状打破に向けた取り組み、問題意識を共有した。

特にバス事業は、従来からの人手不足に加え、2024年問題(時間外労働時間の上限設定に伴う輸送力不足の問題。2019年の労働基準法改正によるもので、自動車運転業務は適用が5年間猶予されていた)で、いよいよ深刻な運転手不足が危惧されている。

常任理事会の冒頭挨拶で、会長の清水一郎氏(伊予鉄グループ社長)は「多くの産業が直面している問題だが、バス事業にとっては本当に深刻。全国各地で影響が出ている」と強調。解決に向けたこれまでの取り組みと要望を示すとともに、「バスは公共交通の最後の砦といわれるが、我々は民間会社であり、民間ができることには限りがある。我々が何とか踏ん張っていくためにも、国にはしっかり支援をしてほしい」と訴えた。

清水氏が言及したのは、(1)人材確保に必要な賃上げのための定期的な運賃改定、(2)外国人運転手制度、(3)補助額算定の方式の改善要求に対する一定の成果、(4)EVバスの導入、(5)キャッシュレス環境整備、(6)自動運転の本格化、など。

日本バス協会会長の清水一郎氏

特に(1)賃上げに向けた定期的な運賃改定については、この数年で動き始めたものの「運賃改定には様々な制約条件がある。人件費が全産業平均という換算の仕方は、平均では人が集まらない。計算の仕方も改善する方向で国に検討をお願いしている」と説明した。

また、(2)外国人運転手制度は、国土交通省が外国人労働者の在留資格「特定技能」に自動車運送分野の追加を検討しているところ。これに対し、同協会として2024年度からの制度化を目指して準備を進めており、研修・訓練、在留資格取得後に外免切替、大型第二種免許取得といったリクルーティングができるシステムを構想しているという。

このほか、清水氏は(5)キャッシュレス環境整備について、キャッシュレス対応をしても運賃箱が併設されていることに「現金対応に対する運転手の負荷は大きい。いろんな意味で二重投資になっている。事業者だけではキャッシュレス化の推進は難しい」と話し、国の環境整備を求めた。(6)自動運転については、全国各地で実証実験がおこなわれている一方で、本格的な運用につながっていないことに「本当に人手不足の解決につながるのかという問題意識を持っている」と指摘。2024年を「自動運転の本格化元年」とすべく、実現に向けた取り組みを訴えた。

政策講演や賀詞交歓会、国交副大臣など登壇

通常理事会では国土交通省総合政策局地域交通課課長の墳崎正俊氏が、2024年度および2023年度補正予算等の概要について講演。地域交通の政策として、連携・協働(共創)によって「リ・デザイン」(再構築)する取り組みを進めていることを説明した。

例えば、「令和5年度共創モデル実証運行事業」では、茨城県常陸太田市で重複運行していた路線バスとコミュニティバス、通院バス、スクールバスを路線バスに統合し、輸送に係るリソースの効率化と公的負担の抑制を実現。官民共創で自治体と交通事業者が黒字路線と赤字路線を一括運行する「エリア一括協定運行事業」では、2023年10月に第1号として松本市×アルピコ交通の取り組みが開始されているという。

国土交通省総合政策局地域交通課課長の墳崎正俊氏

通常理事会後の賀詞交歓会には、多数の国会議員が来場し、挨拶を述べた。

来賓挨拶で登壇した国土交通副大臣の國場幸之助氏は、年初の大災害や大事故で必要になった移動に対し、バス事業者が協力したことに感謝の意を表明すると同時に、能登半島地震では地域のバス事業者も運休を余儀なくされ、厳しい状況に置かれていると話した。そのうえで、バス事業者は「日本各地の日々の暮らしを支えるとともに、経済社会の活性化に貢献している」と述べ、「国土交通省としても課題となっている運転手不足に対する応援をし、賃上げなどの処遇改善に向けた取り組みを強化したい」と話した。

また、自民党バス議員連盟会長の逢沢一郎氏(衆議院議員)は、日本バス協会会長の清水氏が触れた、補助額算定方式の改善について「悪戦苦闘したが、新しい仕組みを作ることができた。小さな一歩だが、大きな一歩につながる大切なプロセスだった」と言及。バス事業者が(新しい補助額算定のもと)適切な運賃改定と経営の効率化によって賃上げをすることで「賃上げ税制を使える」とし、「バス業界の各社がどれくらい、賃上げ税制の恩恵に浴することができるか、そこまでの好循環を実現したい」と意欲を示した。

公明党代表の山口夏生氏(参議院議員)は、地方の物産品を貨物スペースを活用して輸送するバス事業者の新たな取り組みを紹介。バスにはまだ隠れた需要、生産性の向上の余地があることを実感する」と話し、今後のバス事業の発展に尽力する決意を述べた。

このほか、多くの国会議員が来場し、バス業界の全国の地域での重要性を示すとともに、困難な状況を乗り越えていくための支援を実現する決意表明や激励を送った。

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