バス事業者の「2024年問題」、99%が運転手不足と回答、時間外労働の上限規制は3年程度の延長を提言

地域公共交通総合研究所は、バス事業者の運転手不足の現状を把握する目的で、アンケート調査を実施し、その結果を明らかにした。いわゆる「2024年問題」への事業者の状況を聞いもの。2024年4月から働き方改革関連法の施行に伴い労働時間に関する制度変更が予定されている。調査期間は2023年11月6日~24日、日本バス協会の会員308社に依頼し、68社から回答を得た。

それによると、68社中67社の99%が運転手不足と回答。不足人数は10人未満が最多で約半数、不足数20人まで含めると76%を占めた。

また、対策については、47%が減便、34%が路線廃止と回答。地元自治体との協議中との回答も多いことから、今後、減便、路線廃止、運行などの計画は増加する可能性があるとしている。

車両運転業務の時間外労働時間上限規制の適用時期については、延期すべきは44%、延期すべきでないは41%。延期すべき理由としては、「運転手不足への各社の解決策が見えていない」「将来改善の見通しが立たない不安」などが挙げられた。一方、延期すべきでない理由としては、「労働環境整備の趣旨を理解すれば2024年4月からの施行が妥当」「延期しても運転手不足は解消しない」などが挙げられた。

適用延期する場合の期間については、4年以上が16%で最多。過半数が無回答であることから、2024年4月までの準備期間で、運転手不足対策の効果がどこまで上がるか不安視している様子が窺えるとしている。

2024年問題に向けて政策提言

この結果を受けて、地域公共交通総合研究所では、対応できない事業者には一定の条件を付して例外規定を設け、少なくとも3年程度の延長が必要と提言している。

その理由として、少なくともコロナ禍で失った3年間は再延長すべきとしているほか、減便や路線廃止がさらに進み、地方交通の崩壊の恐れがあることを挙げた。

また、月2~3万円の時間外手当の減少によって、ますます運転職からの離職が増える懸念も指摘。減収対策として国と自治体の支援が必要と提言している。

さらに、例外規定の延長の条件として、本人の承諾、労働組合など社員代表の承諾、自治体や地域協議会などとの実態の共有を挙げている。

このほか、今後の運転手不足の課題解決には、運転職の他産業並みの待遇改善、公設民託での大型一種免許保有者などの雇用、外国人労働者の雇用の認可、「働き方改革+働きたい改革」への転換を挙げたほか、いわゆる年収の壁を100万円から200万円に上げれば、パート労働は1400万人増加することと同じ効果があることから、運転職では朝晩の時間外を減らせる手段となることも提言した。

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