世界最大のクルーズ客船が運航開始、9900名が乗船可能、LNG燃料でクリーンな運航を実現、一方で環境リスク論争も

写真:ロイター通信

ロイヤル・カリビアン・インターナショナルの新型クルーズ船「アイコン・オブ・ザ・シーズ(Icone of the Seas)」(約25万総トン)がマイアミから出港した。全長365メートル、20階建て、船内を8つの街で構成するこの客船は、海の上の巨大テーマパークとして乗客乗員あわせて約9900人が乗船することが可能だ。

液化天然ガス(LNG)を燃料とするこのクルーズ船は、従来の船よりもクリーンな運航が可能だが、メタン排出のリスクが高まると指摘する声もある。ある環境団体は、船のエンジンからのメタン排出は短期的に悪影響を及ぼすため、気候に対するリスクになると主張している。

環境政策シンクタンク「国際クリーン輸送評議会(ICCT)の海洋プログラム部長ブライアン・カマー氏は「これは間違った方向への一歩だ」との見解を示す。同氏によると「船舶用燃料としてLNGを使用すると、船舶用軽油よりも生涯の温室効果ガス排出量が120%以上増えると推定されている」という。

メタンは、温暖化に対して、過去20年間で二酸化炭素の80倍の悪影響を及ぼしているという調査もある。

一方で、ロイヤル・カリビアンは、新造船の二酸化炭素排出率は、世界的な海運規制機関である国際海事機関(IMO)の基準よりも24%も優れていると反論。また、業界団体「Sea-LNG」のスティーブ・エサウCEOは、世界のほとんどの船が使用している超低硫黄燃料油(VLSFO)よりもLNGの温室効果ガス排出量は少ないと主張している。

クルーズライン国際協会によると、2024年1月から2028年12月までに発注された54隻の船のうち、63%がLNGを燃料とする見込みだという。 現在、航行中のクルーズ船300隻のうち約6%がLNGを燃料としている。

ロイヤル・カリビアンの環境・社会・ガバナンス担当副社長ニック・ローズ氏は、市場の変化に応じて、異なる燃料を使用するとしたうえで、「LNGは、我々の現実的な戦略の一部となっている」と述べた。

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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