北海道観光振興機構、「旅先納税」導入で周遊観光を促進、札幌市など11市町村で、その場で使える共通商品券

北海道観光振興機構(HTO)は、さっぽろ連携中枢都市圏内の11市町村(札幌市、⼩樽市、岩⾒沢市、江別市、恵庭市、北広島市、⽯狩市、当別町、新篠津村、南幌町、⻑沼町)で、「旅先納税」を開始した。eギフトを提供するギフティのデジタルプラットフォーム「e街プラットフォーム」を採用し、共通返礼品として電子商品券「さっぽろ圏e旅ギフト」を発行する。

寄附者は、11市町村から寄附先を選ぶことができ、加盟店で利⽤可能な共通電⼦商品券「さっぽろ圏e旅ギフト」を、寄附額の3割分の返礼品として即時に受け取ることができる。開始日の2024年2⽉1⽇時点で、飲⾷店、体験施設、宿泊施設など206店舗が加盟している。

寄付金額は自治体によって異なるが、1万円から300万円。受け取りや利⽤でアプリなどをダウンロードする必要なく、会計時は1円単位で利⽤することが可能で、決済は「二次元コード認証」あるいは電子スタンプ「giftee STAMP」で行う。

(左から)HTO小金澤会長、札幌市天野副市長、ギフティ森氏(報道資料より)採用は全国53自治体に拡大、5類移行後に増加

HTO会長の小金澤健司氏は、旅先納税を導入した理由について、「11市町村での周遊観光を促進し、滞在日数を伸ばすことで、地域の経済を活性化させていく」と説明。観光は幅広い波及効果が期待できる総合産業と位置付けたうえで、「旅先納税は、新しい観光コンテンツの発見にもつながる。旅行者、事業者、地域住民それぞれが恩恵を受ける新たな北海道観光の形になるだろう」と期待を表した。

また、札幌市の天野周治副市長は、「札幌市周辺には、まだ知られていない魅力が多くある。体験型コンテンツを提供し、周遊観光を促進することで、さっぽろ圏のファンを増やしていきたい」と意欲を示した。さっぽろ連携中枢都市圏は2019年3月に12市町村で発足。今回、すでに単独でギフティの旅先納税を導入している千歳市は加わっていないが、今後さっぽろ連携中枢都市圏での取り組みに参加を働きかけていくという。

「旅先納税」は2019年11月にスタートして以降、2024年2月1日時点で全国53自治体が採用。都道府県別では、北海道が最も多く、今回の11市町村を含めて23自治体が導入している。ギフティ常務執行役員の森悟朗氏は「コロナ禍で導入は遅れたものの、5類への移行後は採用する自治体が増えている」と説明。現在、ふるさと納税を実施していない人が約86%(約6450万人)にのぼることから、「旅先納税をふるさと納税の参加者を増やす新たなチャネルにしていきたい」と話した。

この事業は観光庁の「R5年度地域と一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業(面的DX化)」の採択を受けているもの。なお、「旅先納税」の仕組みを広域で採用するのは、さっぽろ連携中枢都市圏が2件目。2022年11月には、広域DMO「海の京都」が、7自体向けに「海の京都コイン」の発行を始めている。

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