オランダの裁判所は2024年3月20日、KLMオランダ航空に対して、環境イメージ向上を目的とした同航空の広告キャンペーンは、環境保全への配慮を実態以上に見せかける「グリーンウォッシング」で、消費者に誤解を与えるものとの判断を示した。
規制当局が、企業の環境対策アピールに対して厳密に精査しているなか、今回の判断は、航空会社のCO2排出量削減に向けた取り組みにおいて、何らかの基準になるかもしれない。
裁判所は、判決要旨のなかで「KLMが過去に行った多くの広告は誤解を招くもので違法」と結論づけたうえで、持続可能性に関する主張が曖昧すぎる企業も一部あると付け加え、今後は環境に関する主張については「正直かつ具体的」でなければならないとした。
また、KLMによるバイオ燃料の使用量の増加や植林など排出量削減に向けた取り組みについて、「バラ色すぎる未来を描いている」とも述べ、「これらの取り組みは環境への影響をわずかに軽減するだけで、KLMの航空便が持続可能であるという誤った印象を与えている」と断じた。
今回の判断で処罰は行われない。KLMベンジャミン・スミスCEOは「より効率的な航空機を購入し、ジェット燃料にさらに多くのバイオ燃料を混合することで排出量を削減する措置を講じている」と述べ、「私はそれがグリーンウォッシングだとは思わない。今回の判断は公正な評価ではない」との見解を示した。
一方、化石燃料廃止を訴える活動家は、すべてのフライトがCO2排出量に多大な影響を与えていることを考えると、KLMの「責任ある飛行」キャンペーンは誤解を招くものだと主張。「今回の判断は明快。危機を煽るだけで、実際に危機的な気候変動に取り組んでいると主張することは許されない」と述べている。
KLMは、今回の判断で広告の全面取り下げが求められているものの、是正義務はないことから、広告を継続する可能性があるとしている。
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。