スペイン・カナリア諸島でも民泊規制の新法案、警察に捜査権限を付与、新築物件の除外や隣人の許可など

スペインのカナリア諸島でも違法民泊の取り締まりが強化されようとしている。人気リゾートのテネリフェ島では、住民が建物の屋上をキャンプ場として1泊12ユーロ(約1980円)で貸し出し始めたが、隣人からの通報で当局からの捜査を受けることになった。

破格の価格で短期宿泊レンタル(STR:short-term rental/民泊)を提供している住民や、STRに投資する企業の減税対策に対するホテルからの苦情を受けて、地元自治体民泊の規則を強化する法案を可決する見込みだ。

現在、オーストラリア、イタリアなど国レベルで、地域社会を守るために、民泊規制を強化しているところも出てきている。

カナリア諸島観光局によると、新しい規制法案では、不正行為に対する警察当局に捜査権限が付与されるという。また、草案によると、新築物件は短期賃貸から除外され、民泊を始めるオーナーは、隣人からの許可などを含めた要件を5年間にわたって満たすことが求められる。

スペインの他地域でも同様の法律があるが、法執行の手段はそれほど強くない。バルセロナ市には検査官が70人いるが、検査に警察が常に帯同することはない。マドリード市では、民泊検査官は8人、市の担当職員が65人いるが、警察当局の支援はない。

カナリア諸島では、警察の権限を強化するものの、警察を検査官として活用することはないという。

公式データによると、カナリア諸島7つの島には今年3月の時点で過去最多の22万床の民泊がある。2022年から40%増加した。ランサローテ島、ラ・ゴメラ島、エル・イエロ島の人口を合わせた数を上回っている。

別荘協会は規制強化の代わりに新しい税制を提案

一方、地元の別荘所有者協会は、「提案されている規則は民泊物件の90%を排除するもので厳格すぎる。憲法に違反する」との見解だ。その代わりに、住宅問題解決に向けた資金として、バケーションレンタルオーナーに対する新たな税制の創設を提案している。

また、長期入居者を保護するために、家賃の上限が設定されていることから、島内には20万戸の空き家が放置されていると主張する。

ブッキング・ドットコム(Booking.com)は、バレアレス諸島とセビリアの当局と協力し、年末までに欧州で義務化されている未承認物件の削除に取り組んでいると話す。エアビーアンドビー(Airbnb)は、「カナリア諸島と協力し、すべての人にとって有効な方法について話し合う」とのコメントを出している。

※ユーロ円換算は1ユーロ165円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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