ANAホールディングスは、2024年3月期決算を発表した。新型コロナウイルスの位置づけが5類感染症に変更されたことなどから、旺盛な訪日需要と国内のレジャー需要に支えられ、国際線旅客・国内線旅客ともに好調に推移。売上高は前期を大幅に上回る2兆559億円となった。
訪日需要が好調に推移したことに加えて、日本発の国際線需要も積極的に取り込んだ結果、国際線旅客収入は前期比68%増の7281億円となり、初めて国内線旅客収入(6449億円)を上回った。
営業利益は前期の1200億円を大幅に上回り、過去最高の2079億円を計上。営業利益率は初めて10%を超えた。また、経常利益は前期の1118億円を上回る2076億円。当期純利益は、前期の894億円から1570億円に大幅に増加した。
航空事業の売上高は、前期の1兆5394億円から1兆8650億円に増加。営業利益も前期の1241億円から2079億円に大幅増となった。
国際線の旅客数は同69.4%増の713万人、国内線の旅客数は同18%増の4076万人。
一方、グループLCCのピーチ(Peach Aviation)でも、訪日需要が好調に推移。国内レジャー需要も好調だったことから、旅客数は同20.2%増の934万人、旅客収入は同52.9%増の1380億円となった。
このほか、旅行事業の売上高は同6.4%増の785億円。営業利益は13億円(前期は営業損失2億円)。国内旅行については、全国旅行支援が実施された前期と比べてダイナミックパッケージ商品の取扱いが減少し、売上高は前期を下回ったものの、 海外旅行については、主力のハワイ方面に加えて韓国・台湾を中心としたアジア方面への個人旅行などの需要を積極的に取り込んだことから、売上高は前期を上回った。
2025年3月期、過去最高の売上高も減益を予想
2025年3月期については、国際線旅客の売上高はイールド正常化の影響はあるものの、生産量増加によって258億円の増収を見込む。また、国内線旅客で240億円、国際線貨物で284億円の増収を予想。全体では過去最高の2兆1900億円を見込む。
営業費用については、営業費用は運航規模に連動する費用の増加に加えて、減免・補助金の減少や、コロナ禍で抑制していた整備機会の増加、人財への投資などで、1719億円の増加を予定。
このことから、営業利益は1700億円、経常利益は1600億円、当期純利益は1100億円と前年からの減益を予想している。