旅行テクノロジーの国際会議「WiT Japan & North Asia 2024」が、2024年5月13日に始まった。1日目はグローバルOTAをはじめ、成長著しいアジアのトラベルテック企業が多数登壇。特に、生成AIに関する知見や見解が多く共有され、旅行テック企業が自社の業務や製品・サービスに生成AIを取り入れ、活用することが当然となっていることを印象付けた。
例えば、デジタルトラベルに関わるテック企業などが登壇したセッション「Welcome To The Third Age of Digital Travel」では、モデレーターの「テック企業における最大の課題は何か?」の問いに、ウーバーのディレクターSheue Chee Beh氏が「AI。いかに現状よりもよい体験へ改善・活用するか」と即答。
ウーバーでは8年前からAIを導入しており、レストラン予約や体験予約と連携したサービスで、配車タイミングや交通状況、ドライバーのマッチングなどに活用してきた。アジア太平洋地域ではアプリ内で、ユーザーの目的地などに応じたパーソナライズ広告にも活用している。Sheue Chee Beh氏「AIはツール。人の頭脳のクリエイティビティが成功をもたらす」と話した。
アジアの中産階級、中東に注目
グローバルOTA大手のエクスペディアは、マーケットの変化を指摘。今後、カスタマーサービスを楽しみ、旅行の頻度が高く、旅行期間の長い「プレミアムトラベラー」にフォーカスを当てるという。これは、アジア太平洋地域における人口構成が、2030年には3人に2人が中産階級になることを見据えたもの。日本をはじめ、シンガポール、香港に再投資をしたほか、8年ぶりとなる新しい営業拠点をサウジアラビアとUAEに開設した。エクスペディア・グループのアジア太平洋地区マーケットマネジメント担当副社長、マイケル・ダイクス氏は「旅行業界が当然稼ぐべき市場」と、アジアの重要性を強調した。
アジアのなかでも、日本市場に熱視線を注ぐ海外トラベルテック企業も来日し登壇した。インドネシア拠点のアジア大手OTA「トラベロカ」は、昨年に引き続き社長のシーザー・インドラ氏が、ローカライズを重視して展開する同社の特徴と強みをアピールした。
ショート動画に特化したSNS「TikTok」からは、旅行、ホスピタリティ、観光分野を担当するTejveer Bedi氏が来日し、同社の旅行・観光向けのマーケティングツールを紹介。Bedi氏は、TikTokでシェアされるショート動画が「パーソナライズ化されたレコメンデーションになる」と強調し、ユーザーの5人に3人がTikTok内の動画をきっかけに旅行をしていると話した。
今年のWiT Japanのテーマは、「The Human Revolution」。急速に進化を続けるテクノロジーを活用するため、いかに使用する側の“人の革新”をしていくか。2日目も多角的な視点で議論が交わされる。