フランスへの日本人旅行者、回復のけん引者は富裕層、クオリティ重視のプロモーションを展開

フランス観光開発機構は2024年5月28~31日、東京と大阪で旅行業界向けのワークショップ「SAKIDORI FRANCE 2024」を開催した。会場では、フランス観光開発機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏と、パリ地方観光局レジャー&ビジネス部門マネージャーのイングリッド・ハチキアン氏が取材に応じ、市場動向と今後について語った。

パリを訪れる日本人旅行者は回復傾向にあり、今夏開催のオリンピック・パラリンピックや印象派150年を通してプロモーション展開を図る。またフランス全体としては富裕層誘致に向けてサービスの質の向上を掲げ、より付加価値の高い魅力ある持続可能な観光地作りに取り組んでいく考えだ。

パリの日本人客は回復傾向、航空増便に期待

ハチキアン氏によるとパリを訪れる外国人観光客は2022年、23年と好調に推移し、特に2023年はアメリカなど北米地域が市場をけん引した。日本人観光客数は2023年秋に開催されたラグビーワールドカップが後押しし、2019年比48%に。長距離市場ではアメリカ、カナダ、中国、ブラジル、オーストラリアに次ぐ第6位となり、「復調傾向にあると見ている。円安は懸念されるが、7月からANAの羽田/パリ直行便のデイリー運航による増便はポジティブに捉えている」と話す。

パリ地方観光局レジャー&ビジネス部門マネージャーのイングリッド・ハチキアン氏

7月から開催されるオリンピック・パラリンピック、世界的に訴求力の高い印象派150年イベントなどによるPR効果を期待する。一方で、コロナ禍以降、旅行会社などのスタッフの入れ替わりなども鑑みて、「基本に立ち返る」として「SAKIDORI FRANCE 2024」ではヴェルサイユ宮殿、バトームーシュ、フォンテーヌブローなどを紹介。「パリのベーシックな素材を再認識してもらいながら、質の高い体験素材を提案していく」と語った。

富裕層が市場をけん引、サービス向上は重要課題

マゼンク在日代表によると、2023年のフランス全体の日本人観光客数はパリとほぼ同じく2019年比45%。しかし消費金額は2019年とほぼ同額で、「富裕層が市場をけん引している」と分析する。7月からのANAの増便は好材料ではあるが、2019年の合計便数は週45便であったこと、インバウンド客との座席の争奪、円安などを踏まえ、「本格的な回復には1年~1年半はかかるのでは」と見る。今後はワイン、美食、文化の主要な柱を軸に、当面富裕層を中心に市場の回復を見定めつつ、プロモーションを進めていく考えだ。

フランス観光開発機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏

また、近年日本のみならず「富裕層の取り込みは世界的に重要な要素。欧州近隣競合国との差別化とサービスクオリティ向上は重要課題」とし、フランス観光開発機構ではホテルスタッフやタクシー運転手など「最前線」の人員を対象としたサービスマニュアル動画を作成し、配布しているという。動画は日本人やインド人、中国など、各国ごとの対応ノウハウをまとめたもので、「非常に好評」という。

「SAKIDORI FRANCE 2024」はフランスの地方観光局、ホテルなどのサプライヤー計38団体・会社が来日し、日本の旅行会社からは東京・大阪など約190人、プレス媒体50人が参加した。

記事 西尾知子

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